2024年11月22日(金)

WEDGE REPORT

2016年1月1日


Q JTは自前で財務能力の向上を行ってきた。買収に際してファイナンシャルアドバイザー(FA)をあまり使わないそうだが、その理由は何か

A  FAに期待しているのはインテリジェンス(情報収集)だ。発展途上国などで、地元の投資銀行でしか得られない情報はFAの力を借りて補完する。FAは買収までのプロセスは知っているが、事業内容までは把握していない。助言を受けるのは買収が成立するまでで、その後は自分たちが主体的に買収後経営の青写真を描かなければならない。

「アメスピ」は勝算あり

Q 昨年9月に発表した米国のたばこ大手のレイノルズ・アメリカンの人気ブランドであるナチュラル・アメリカン・スピリット(アメスピ)の米国外事業買収については、買収金額が6000億円と巨額で、高値掴みではないかとの批判もあったが

ナチュラル・アメリカン・スピリット

A アメスピの買収発表時に株価は一瞬下げたがすぐに回復し、その後10日間で発表前の株価よりも高値となった。一つのブランドの買収額が6000億円という高額だったため一部の投資家から強い懸念が寄せられたが、われわれとしては確たる裏づけがあった。6000億円はアメスピの成長性やシナジーを保守的に算定した結果であり、先般も投資家説明会で詳しく説明し、納得してもらったと考えている。

 売れているブランドには独特の世界観がある。世界一のブランド「マールボロ」が米国の開拓精神につながるイメージがあるように、アメスピにも独自のブランド力、世界観がある。これはJTが作りえなかったブランドだ。アメスピの日本での販売本数は2011年が6億本、12年が8億本、13年が11億本、14年が15億本と成長が加速しており、15年は20億本までになると予測している。シガレットの市場規模が縮小する中で、これだけの驚異的な伸びを示しているのは、アメスピが独特の世界観を有し、顧客と情緒的に結び付いているからだ。数年後には採算に見合うと確信している。

  
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