加湿機は必要か?
さて、冬に悩ましいのは湿度の問題です。冬、乾く理由の1つは低温だからです。空気に含むことのできる水分量(絶対湿度)が少なくなります。このため低湿でも、人間の身体から常に水分が出て行きます。身体が乾くわけです。その上低湿はウィルスが存在しやすい環境。このため50%位まで湿度は上げたいモノですよね。で、加湿機の登場と言うわけです。
が、使う前に知っておきたいことが幾つか。
1つ目は、湿度は偏在しないと言うことです。部屋の端で湿気を出したとします。数分で部屋の中の湿度は一定になります。冷気溜まりのような湿気溜まりはできないということです。
2つ目は、温度が上がると、絶対湿度は上がるということです。空気に含まれる水分が上がるわけです。この逆も真なりです。
3つ目は、部屋の中に放出される水分量は考えているより多いということです。人間も放出していますし、コーヒーなどからも放出されます。コーヒーからでも出る位ですから、料理などしようものなら、一気に上がります。鍋物したら90%まで湿度が上がったと実体験を語ってくれる人もいました。
その温度の空気が含むことのできる水分を越えることが日常生活をするだけでも起こるわけです。では、余った湿気はどこへ行くのか? 結露として水に戻るのです。
結露と書きましたが、別の言い方をするとカビ発生の必要条件です。日本の高温多湿は、微生物に取り好ましい環境で、カビの種類は世界でもトップクラス。どこにでもカビはいるということです。つまり結露でも放っておくとカビるということです。
結露を防ぐためには、湿度を上げないことです。しかし冬場のエアコンは、除湿が効きません。このため、加湿するときは「ゆっくり」とです。そして必要なだけ放出すると、すぐに止めた方がイイです。店頭でよくある白煙が見えるような使い方は避けた方が賢明でしょう。
ちなみに加湿し過ぎたのだが、結露をさせたくない場合は、どうするのか。1分換気をお勧めします。湿度は偏在しませんから、短時間でもかなり下げることができます。
最後に
今のエアコンは、今まで述べたことに基づき設計されています。弱点は、暖房時は、エアコンが持つ「温度コントロール」「除湿」「送風」の内、「除湿」は使えないこと。また「送風」も直接的なメリットは出しにくいことです。このため、家が持つ要素、換気との連携プレイが不可欠です。家の知識も必要になります。
最新のエアコンは、ヒートポンプの性能が上がったため、かなり寒冷地でも充分実用性があります。そして省エネです。このためメイン暖房で使うならエアコンです。せっかくの省エネ暖房器具。正しく使って安く、温かく、そして健康的に乗り切りましょう。
最後に、年末にも関わらず取材を受けて下さいました、ダイキン工業、パナソニック、日立ジョンソンコントロールズ空調、富士通ゼネラル、三菱電機(五十音順)の各メーカー様に厚く御礼申し上げます。
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