2024年4月25日(木)

家電口論

2015年12月25日

足を狙って温める最新式エアコン暖房

 まず質問です。

 オイルヒーターとエアコンで、人がいない状態で、同じ温度まで温めたとき、室内の状況は違うでしょうか? いろいろな人に質問すると、かなりの人が違うと答えてきます。

 が、正解は「同じ」です。

 何故「違う」と言う答えが多いのでしょうか? 理由はエアコンの「風」にあります。空気環境の快適性と言うのは、「気温」「湿度」「気流」「放射熱」「着衣量」「運動量」で決まります。オイルヒーターが気持ちがイイのは、放射熱だからです。

 では、エアコンの問題は何か? それは風です。冷房では温度を下げてくれる風が、暖房では不利に働くのです。エアコン暖房で最もしては行けないことは、ずばり顔に温風を浴びることです。気持ち悪くなることも一つの大きな理由ですが、それに加え湿度が少ない冬場、温風を浴びると脱水が促進されるからです。顔も突っ張ります。

 昔から「頭寒足熱」と言います。こうすると身体にイイという言葉ですが、非常に理にかなっています。

 人間は恒温動物です。そして心臓を始め、脳以外の重要な臓器はすべて胴に入っています。このため寒さなど、身体に影響を及ぼす行為に関しては、すぐ反応をします。そう、血液を胴に集めるのです。当然手足は冷える。だから足熱です。足熱がイイのは、胴もやんわりと温められるからです。頭は逆ですね。知恵熱という言葉がある通り、熱を帯びやすい。当然、熱してはいけないということです。

 各メーカーで技術は微妙に違いますが、今のエアコンは、人間、及び空間の状況が優れています。これにより室内に居る人の足元に向けて温風を送ります。合理的で、人にとって気持ちのイイ温め方と言えます。

最新式エアコン暖房は床暖型

 人の足を温めない場合は、エアコンは部屋を温めます。

 今のエアコンは床に温風を吹き付けます。これは温かい空気は軽く、天井に溜まる性質があるためです。エアコンは壁に付いていますから、そこから温風を床に吹きつけて這わします。そして暖気は上にのぼって行きますので、部屋全体が暖まるというわけです。

 この方法ができるのは、風向きと風の組合せにあります。風向きは温風をなるべく真下に送ります。これはフラップ等風向きの制御技術が上がったからです。そして風の組合せで床全面に温風を這わせることをします。これは温度の違う風を放出できるようになったためで、例えば床を温める温風の上に、温風より少しだけ冷たい風を覆い被せるのです。その風がフタになるので、暖気が部屋の上側に上がるのが遅くなります。それで部屋の床の隅々まで暖気が回るというわけです。

 このため、床の上を温風が通りやすいようにキレイにしておくことです。通らないと空気の温度にムラができます。冷気溜まりです。防ぐためには、ロボット掃除機が掃除しやすいレベルにしておくということでしょうかね。

 夏は天井を舐めるように冷風を出し、冷気が降りてくるので部屋全体を冷やすなら、冬は床を舐めるように温風を出し、暖気が上にのぼり部屋を温めるわけです。そして、その暖気がエアコンの中に入り、また床に吹き付けられるという形で循環するのです。ちょっと古いエアコンは、ここまでの制御はできませんが、顔に当てない、温風を床に当てることは可能です。これがエアコン暖房のコツです。

サーキュレーターは必要か?

 一頃、サーキュレーターが必需品の様に騒がれた時がありました。
しかし本当にサーキュレーターが必需品かどうかは、エアコンと天井の位置関係によります。

 まずエアコンと天井があまり離れていない場合、サーキュレーターは意味がありません。エアコン自体が、その役目をすることが、今までの説明からご理解頂けると思います。

 しかし、今のリビングは吹き抜けなどを使いますからね。エアコンの上にかなりのスペースがあるわけです。こうなるとこのスペースが暖気溜まりとなるわけです。このスペースが大きいとサーキュレーターをお勧めします。サーキュレーターが必要なのは、そんな時です。


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