そして、ランドマークである広州塔(600メートル)。神戸のポートタワーのような外観をしている。東京スカイツリーに抜かれるまで電波塔としては世界一の高さだったという。
チケット売り場に「スモッグで景色は見られません」と貼り出されていた通り、上からは何も見えなかった。
広州塔は登っても何も見えないということでさすがにお客はいなかったが、どうも景気が悪いという様子があまりしない……。
景気が悪いという意味
広州市内のイオンモールに入ってもお客で賑わっていた。郊外に立地する日本とは違い街のど真ん中にあるイケアも「大変な人気」(現地駐在員)なのだという。また、ゴルフ場はもちろん、高級和食店などでも「相変わらず中国人客が多い」(同)という。というのも、緊縮が求められているのは役人であり、民間人は関係ないのだとか。
さらに、現地の自動車ディラーを訪れると、若いお客で賑わっていた。壁に張り出された月間販売トップ営業マンの販売台数を見ると、毎月20台近くを販売していて、2月の春節(この月だけ一桁。休日になるので例年販売が落ちる)を除いては、大きな落ち込みも見られなかった。
日系企業で働く中国人女性と会食すると、それでも「一時期に比べると景気が良くない」と教えてくれた。どこで景気が良くない感じがするのかといえば、「少し前まではもっと仕事がたくさんあった」とのこと。
かつてと比べれば、落ち込みが見られるのかもしれない。しかし相変わらず、片側4車線の道路を埋め尽くす自動車、途切れることなく続く高層マンション群(もちろん中には鬼城=幽霊マンションもあるだろう)、そして人の群れ……。「血の出るような努力が必要な市場だが、間違いなく日本よりはポテンシャルがある」(現地駐在員)というのも頷ける。
一方で、日本国内では「中国経済が危ない」という報道などが目立つ。中国に赴任経験のある記者が「そもそも中国のニュースは悪いことの方が取り上げられやすい」と教えてくれた。
結局どうなる 中国経済
著者:富坂 聰/中島厚志/倉都康行/梶谷 懐/水谷幸資
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