カーライドシェアサービスのLyft社への出資を発表して話題となったGMが、ラスベガスのCESでメアリー・バーラ会長自らの基調演説を行った。ただしGMとしてではなく、今回はブランドのひとつであるシボレーについての戦略発表である。
テスラキラーを投入
現在、自動車業界は全体として電気自動車(EV)導入、家電やコンピューターメーカーと提携しての車内コミュニケーションサービスと外部とのコネクティビティに注力している。シボレーも例外ではない。シボレーにはすでにプラグインハイブリッドの「ボルト」、小型車「スパーク」というEVモデルがある。
シボレーは以前から「低価格で継続走行距離の長いEVを発売する」と宣言していたが、その車が新型ボルトとして今回発表された。従来のプラグインハイブリッドではなく完全なEVモデルだ。しかも継続走行距離は200マイル(約360キロ)、価格は政府による無公害車インセンティブを含めると3万ドルになるという。今年後半にも発売予定だ。
この新型ボルト、どう考えても「テスラキラー」である。バーラ会長は会見の中で繰り返し「大企業としてのスケールメリット」に言及した。「シボレーの車に乗る限り、バッテリー切れを心配する必要はない。州をまたぐ旅行にでかけても、シボレーディーラーはどこにでもあり、充電サービスが受けられる。しかも新型ボルトの高速充電はわずか16分でフルチャージが可能」とバーラ氏は説明した。
テスラは2017年にも3万5000ドル程度で購入できる安価モデルを発売する、と以前から宣言していた。しかしモデルXのデリバリーが現在遅れており、顧客からの不満が高まっている。数年前から予約し、最高で4万ドルものデポジットを支払っているのに、約束した期限にデリバリーが行われない、と批判が相次ぐ。そんな中で17年の新型発表は果たして可能か、という声も出てきた。
それに対し、当初は同じく17年に予定していた新型EVボルトを今年中に発売する、というGM。しかも価格は3万ドルと、大企業ならではのスケールメリットを見せつけた感がある。チャージステーションにしても、テスラが独自のチャージステーション建設に乗り出しているのに対し、GMはすでにあるインフラを使って提供できる。