米国カリフォルニア州ガーデナ市で2014年に起業した新しいEV企業、ファラディ・フューチャー(http://faradayfuture.com/cespresskit/)。「中国のNetflix」と呼ばれる LeTv 社がスポンサーで、「中国によるテスラ対抗企業」などと呼ばれてきたが、その実態は謎に包まれていた。
同社は元ジャガーのエンジニアでテスラでモデルS、Xの開発にも携わったニック・サムソン氏、元BMWデザイナーのリチャード・キム氏らが中心となり、テスラ、BMWだけではなくフォード、GMなど多くの自動車メーカーから移籍した人々が「新しい時代の車作り」を目指して創業した。
そのファラディ・フューチャーが、米ラスベガスで開催中のCESでついにベールを脱ぎ、コンセプトカーを発表した。EV業界に波紋を投げかける新しい企業の記者会見は、ラスベガスの駐車場の特設テントで行われたが、会場に入りきらないほどの報道陣が詰めかけるなど、関心の高さが窺われた。
今回の記者会見に先立ち、ファラディはノース・ラスベガス市に総額10億ドルの工場建設の決定を発表していた。この工場誘致のためにネバダ州は20年間の法人税免除などを含むインセンティブパッケージを提供、同社に寄せる期待は高い。
テスラは時間がかかり過ぎた
会見の中でサムソン氏は古巣であるテスラについて「素晴らしい企業、イーロン・マスク氏は誰も思いつかなかったアイデアを次々に実現するダイナミックな人物」としながらも、テスラの創業が2003年、最初のコンセプトモデルができたのが08年、市販モデルの発売が10年、と7年かかったのに対し「我々は創業から18カ月でコンセプトモデルの生産を可能にした」とよりスピードアップしたことを強調。そして16年には工場建設に着工し、数年内に市販モデル販売に乗り出す、と宣言した。
中国LeTvからは共同創業者でグローバル副会長であるディング・リー氏が会見に参加、飽くまでファラディへの出資は「共同資本」でありファラディが隠れ中国企業である、という噂は否定したが、LeTvが2013年から中国でEV開発に乗り出していたこと、車にインターネット・ベースのインフラを組み込む計画などを披露し、ファラディとは「戦略的パートナーシップ」である、と語った。
さらにデザインチーフで、BMWのEV開発にも携わったリチャード・キム氏はファラディの車が「インサイドアウト」のデザインであること、つまりゼロ・グラビティシートなどインテリアコンセプトが先にあり、そこから「人に優しい車」作りを積み重ねてエクステリアデザインが決定されたことなどを説明した。