2024年11月23日(土)

WEDGE REPORT

2016年1月14日

 中国市場でシェアトップのフォルクスワーゲン(VW)、ゼネラルモーターズ(GM)、現代自動車など上位メーカーを追うべく、日産自動車、ホンダ、トヨタ自動車の日系メーカーは、それぞれ年間100万台規模の生産体制を確立した。今年から本格化する中国版自動車燃費規制(CAFE=企業平均燃費。販売した自動車の平均燃費に規制がかかる)などを追い風にして、上位3社の牙城を切り崩すことができるかどうか、広州での現地取材を交えてリポートする。

広州市内の高速道路

日系3社が100万台体制

広州市内(iStock)

 香港から北西に約200キロの位置にある広東省広州市。人口は2014年末で1300万人を超す大都市だ。中心部は高層ビルが立ち並び、4、5車線の高速道路が縦横に走る様子はアメリカのフリーウェイと見紛うばかりだ。ここに中国企業と合弁で日産、ホンダ、トヨタの日系自動車メーカーがそろって生産拠点を構えている。

香港の北に位置する広州(Gangzhou)iStock

 広州市中心部から北に位置する花都区にある日産と東風自動車合弁の「東風日産」の花都工場は、年間75万台の乗用車生産能力がある。日産にとっても世界最大の生産拠点だ。中国東北部の大連にも15万台規模の新工場が14年10月に稼働し、そのほかの2工場を合わせると中国で年間最大約135万台の生産が可能だ。

 広州市東部の黄埔・増城地区には、ホンダと広汽自動車との合弁「広汽ホンダ」の工場があり、昨年9月に12万台規模の第三工場が稼働し、年産60万台に増えた。これに武漢の「東風ホンダ」工場の48万台などを加えると年間で113万台となる。

 広州進出最後発のトヨタは広州市南部の南沙区に「広汽トヨタ」の36万台の生産ラインがあり、17年には10万台増やして46万台にする計画。このほかの工場を加えると、年間で105万台の生産能力がある。

需要減退と供給過剰懸念

 中国における自動車生産、販売は2000年以降、高い経済成長に支えられて急激に伸びた。09年には生産、販売ともに米国をも抜き去り、世界の自動車産業地図を大きく塗り替えた。現在の日本市場の約500万台、米国が15年に1747万台と過去最高を記録したが、中国は2460万台と、ケタ外れの巨大市場になっている。

 しかし、ここに来て市場の成長にブレーキがかかっているといわれる。その原因として、まず環境問題がある。石炭火力や自動車の排出ガスによって中国の大都市では大気汚染が深刻化している。そのため、燃費規制に加えて、主要都市ではナンバープレート規制が行われている。車を所有するためにはこのナンバーを取得する必要があり、抽選のほか、上海、広州などでは毎月オークションも行われている。最近では、上海が8・4万元(約170万円弱)、広州でも1万元以上(約20万円)の値がついているという。こうした規制もあって大都市での販売伸び率が落ちてきている。


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