2024年11月22日(金)

WEDGE REPORT

2016年1月21日

米市場でのハイエンド家電販売は未知の分野

 現在自動車と家電をインターネットで結ぶIoTが急速に進んでいる。パナソニックとホンダ、サムスンとBMWなど、自動車メーカーと家電メーカーの提携が次々発表されているが、伝統的米国企業であるGEの看板を背負うハイアールは、今後例えばゼネラル・モーターズ(GM)との提携の可能性もある。

 ただし、ハイアールにとって米市場でのハイエンド家電販売は未知の分野だ。これまで低価格のダンピング製品を販売してきた同社にとって、ハイクオリティ、デザイン、機能を求められ、なおかつサムスン、LGの価格に対抗しながら利益を上げる製品を開発するのは至難の技、との指摘もある。現時点での米国最大の家電メーカーはワールプール社だが、競争によりマージンは著しく減少、ワールプールも経営難が囁かれている。

 一方で、中国家電が米国に「メジャーデビュー」する、という注目度は高い。かつて日本の家電業界が米国を驚かせ、現在韓国企業が人気ブランドとなっているように、中国の新興勢力が家電業界でも無視できない存在になったことを意味する。

 売却は今後米公正取引委員会の承認を得る必要がある。ハイアールは中国国営企業であり、トップのザン・ルイミン氏は共産党中央委員会のメンバーでもある。選挙の年でもあり、伝統企業であるGEが中国企業に買収される、ということが候補者討論の議題になる可能性も十分だ。しかしザン氏は「ハイアールは米国に投資し、雇用を創出する」と語り、GEも売却承認への自信を見せる。

 「中国のGE」と自らを呼んでいたハイアールが、本国のGEブランドを手にいれる。米家電業界は「アジア家電の決戦地」となるかもしれない。さらに、中国のエンターテイメント・コングロマリット、ワンダ社がハリウッドのレジェンダリー・エンターテイメント社を35億ドルで買収、という話もあり、今年は中国の『爆買い』が米企業を対象にクローズアップされる。

  
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