Bangkok駐在便り

2016年1月29日

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“リタイアプア”化する日本人

PC周辺機器などは日本の方がはるかに安い

 とはいえ、物価の高騰がもたらした影響はそれだけにはとどまらない。駐在員のみならず、タイで余生を過ごし、悠々自適な生活を送っていたリタイア組にも大きな影響を与えている。

 80歳で奥様と2人暮らし、大手企業の第一線で働いた後にバンコクに移住。現在は企業年金と国民年金を受給しながら、年に2回は日本に帰るという、リタイア組の“勝ち組”であるMさんから聞いた話だ。

 円安の影響、物価の高騰は、年金暮らしの人々に大打撃を与え、海外における“リタイアプア”を生み出している。Mさんによれば、懐が厳しくなったリタイアプアは、もはやバンコクでの暮らしを諦め、チェンマイへの移住にシフトしているという。インフラ、住居環境、飲食も充実するチェンマイは、日本人のみならずタイ人にも人気の観光スポット。バンコクと比べると、比較的物価が安く、それでいて時間がゆったりと流れている非常に心地のよい場所であり、穏やかに暮らすには理想的。そんなチェンマイだが、Mさんから正直、耳を疑わずにはいられなかった話を聞いた。  

のんびりとしたチェンマイに移住者が増えつつある

 Mさんがチェンマイに行った際、ターペー門近くの大通りを歩いていると、突然、同年齢くらいの日本人男性から声をかけられ、「まもなく自分の口座に入金があるのだが、当座の金に困っている。すぐに返すから、少し貸してくれないか? 日本人ならわかってくれるだろう」とお願いされたという。当然、Mさんは断ったが、これまで聞いたこともない手口に驚き、同時に貧窮の惨状を感じずにはいられなかった。そんな路上生活者のような物言いで、日本人が日本人に金を無心されるなど、まったく想像していなかったからだ。

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