CASIO「QV-10」の登場から10年間で加速度的に成長を遂げたデジカメ市場。ピーク時には総出荷金額2.1兆円を誇っていたが、2008年を境に陰りが見え始めた。右肩下がりになった市場は14年には964億円まで縮小している。そのなかで12年まで成長を続けたのが、レンズ交換式のデジタル一眼レフである。しかし、現在ではその一眼レフでさえ出荷量がマイナスに転じている。唯一、希望の星がミラーレスである。CIPA(カメラ映像機器工業会)が統計をとり始めた12年から出荷金額でも平均単価の推移でもプラス成長を続けているのだ。
デザインの自由度が高いミラーレス
ミラーレスとは一眼レフの光学ファインダーに不可欠だったミラーとペンタプリズムを取り除いたことから付けられた名称で、レンズ交換が可能なデジタルカメラの総称である。光学ファインダーがないデジカメは液晶モニターを見ながら撮影することになり、200ミリを超える望遠レンズではカメラの保持が不安定になり手ブレが起きやすくなったり、明るい屋外では液晶モニターが太陽光線に反射して見づらいという弱点があった。そこでハイエンドのミラーレスには光学ファインダー(OVF)の替わりに電子ビューファインダー(EVF)が内蔵されるようになった。最初は性能が悪かったEVFだが、年々、高性能化を果たし、現在では光学ファインダーにひけをとらない。事実、SONYはαシリーズのファインダーを全てEVF化している。
これによってデザイン上のメリットも生まれた。レンズ光軸上に大きなペンタプリズムを置く必要がなくなり、ミラーが不要になりカメラの厚みも減らせる。デジタルカメラでありながら、交換レンズの互換性確保のため銀塩カメラと同じマウントを使い、OVFの搭載を余儀なくされた一眼レフは、その呪縛から解き放たれ、ミラーレスによって理想のデザインを追求できるようになった。