「フットサルにはメディアの力が必要だ」という思いで、フットサルのウェブメディア『FUTSAL EDGE』を2015年に立ち上げたのはスポーツライターの北健一郎氏である。北氏は、『サッカーで大事なことは全てフットサルで学んだ』などサッカーとフットサル両方の著作が多数あり、「サッカーとフットサルの両方を取材している者として、語ることのできるフットサルの魅力がある」と話す。FUTSAL EDGEでは、メディア独自の選出がなくなっていたことから、FリーグMVPやベスト5を独自の視点で選定し表彰したり、Fリーグイケメン大集合と題したトークイベントを開催したり、また、Fリーグが始まる前をフットサル創世記とし、関東リーグを題材に関東フットサル三国志を掲載したりと、フットサルの魅力をトップレベルはもちろん、過去からもオフコートからも発信している。
また、2011年に休刊した『フットサルマガジンピヴォ!』(現在はウェブマガジンとして再開)の編集者だった本田好伸氏は、フットボールカルチャーを取り上げた『ROOTS』の編集長として、フットサルを中心に発信を続けている。
本田氏は「フットサルでは、わずか1秒で形勢が逆転するシーンを何度も見ることができます。そうした目が離せない、激しい展開の中で起きる数々のプレーが、フットサルの大きな魅力だと思います」と話した上で、名古屋オーシャンズでもプレーしたリカルジーニョ選手のプレーを見て欲しいと語る。「先日セルビアで行われたUEFA Futsal EURO 2016では、ポルトガル代表のリカルジーニョ選手が、まさに世界最高のプレーを何度も披露しました。もちろんこれがすべてではないのですが、フットサルの面白さが凝縮されたプレーで、得点数を競う他の球技と比べても、全く異なる魅力があります。僕たちメディアの仕事は、そうしたボール一つで生まれる喜びや感動、興奮といったあらゆる感情を呼び起こすきっかけを作ることだと思っています」
共に育てることのできるフットサル
2002年からフットサル日本代表キャプテンとしてFリーグ開幕前から日本のフットサルを支えた市原誉昭氏は、現在の代表チームを見てこう語る。「今の代表には高い期待感を持っています。選手個々を見ても、十分世界で通用する力を持っていると思います。今回のW杯では、ベスト8以上の結果を僕は求めています」
AFCフットサル選手権ウズベキスタン2016の初戦で価千金のゴールを決めた大連元朝足球倶楽部でプレーする渡邉知晃選手は、こう話してくれた。
「今の日本代表チームが強いんだということを、結果で証明したいです。まずは、AFCで3連覇して、アジア王者としてワールドカップに行きたいですね。大事なのは、耐える時間帯の時に、チャンスを掴み取れるか。2014年にアジアチャンピオンになった時から、 良い雰囲気の中でチームが強化されていっています。 チームの雰囲気って少なからず勝負に影響すると思うんですよね。 特に逆境になった時、チーム力で勝利に持っていけると僕は思っています」
AFCのグループステージでは、2月13日のマレーシア戦、2月15日のオーストラリア戦でも勝利したフットサル日本代表は、グループ1位で決勝トーナメントに進出。2月17日の準々決勝ベトナム戦に勝利すれば、第一目標であるフットサルワールドカップの出場権を手にすることになる。
他のスポーツにはないスピードと迫力、スリリングなゲーム展開。そしてGKを下げて、フィールドプレイヤーだけで勝負を挑むパワープレーというフットサル特有の戦術など、あっという間に試合が動き、目が離せないのがフットサルの面白さである。それに加え、カメラマンの軍記氏は、「サッカーって成熟したカテゴリーですが、フットサルはそうじゃない。これから一緒に育てていくことのできる感じがするんですよね」とその喜びを教えてくれた。
2020年のフットサルワールドカップには
愛知県が立候補
これはファンにとっても同じことが言えると思う。フットサルを共に育てていくことのできるチャンスが、9月10日から開催される「フットサルワールドカップ2016」にかけてファンにも訪れている。そして、2020年のフットサルワールドカップには、愛知県が会場として立候補を表明している。東京オリンピック・パラリンピックの興奮冷めやらぬうちに、今度はフットサルのワールドカップが日本で見られる可能性があるのだ。テレビ中継やマッチレポートなどの最新情報は「JFA公式サイト」で見ることができる。2020年に向けて、まずはAFCフットサル選手権ウズベキスタン2016の決勝トーナメントに注目したいと思う。
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