2024年11月22日(金)

いま、なぜ武士道なのか

2009年11月13日

 礼とは一つの行動である。その行動の語るものは、単に敬うというだけのものではなく、相手を受け入れる、という態度なのである。だから、部下が礼を無視するということは、上司を受け入れないということである。また、弱いリーダーは部下との和を保つために、その部下の次元にまで降りていく、そして友人関係のようにふるまう。これで一時的には和が保たれる。社長以下の管理職が、和を大切にするため社員と友達関係になろうとする。その結果、ものわかりのよい社長ということになるかもしれない。しかし、業績は低下する。つまり、会社は何のために存在するかという原点を忘れた「和」は、業績低下という現実によって崩壊していく。そこには責任のなすりあいという形態をとって亀裂が入ったり、手を打たなければ倒産という悲劇となって幕を閉じることさえある。

 こうしたことは、特別なところに起きるのではなく、人の集まるあらゆる組織、集団にあてはまる法則なのである。

 人間の生き方の原理は時代によってそう変わるわけのものではない。人間は人間である。古典に学ぶということは、長い間の風雪に耐えた人間の生き方を知ることであり、その原点は礼節の中にあるのではなかろうか。

 

◆『いま、なぜ武士道なのか―現代に活かす「葉隠」100訓』

 

 

 

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