プーチン氏については、友人のチェロ奏者ロルドギン氏らがキプロスのロシア商業銀行から融資を引き出し、この資金がバージン諸島に設立した企業を経由するなど金融取引が行われ、その総額は約20億ドル(2100億円)にも達している。
ロシア大統領報道官は「でたらめだ」と否定し、同銀行もロルドギン氏への便宜供与などを否定したが、一連の「パナマ文書」による衝撃は米国の情報活動や国防政策の秘密を暴露したあの「スノーデン文書」よりも大きい、との指摘もある。国際的に広がる格差社会の一端を明るみに出すものだからだ。
捜査と規制の動き急
大きな問題はこうした数々の疑惑に違法性があると単純に決め付けることができない点だ。タックスヘイブンで資産や企業を保有し、金融取引を行うこと自体は違法ではない。「多くの取引が合法で、それがむしろ問題だ」とオバマ米大統領が指摘している通りだ。
問題は情報が公開されない闇の中で取引などが行われているため、脱税、粉飾、資金洗浄、非合法活動・テロ支援など不正活動の温床になっているということだろう。
北朝鮮への不正送金に関わったとされる複数の企業や、米国がテロ組織に指定しているレバノンの武装組織ヒズボラやメキシコ、グアテマラの麻薬密売グループに関わる企業の関与も浮き彫りになっている。
「パナマ文書」に関する当局の捜査の動きも急速に進み始めている。パナマ検察当局が違法行為の有無などについて捜査をすると発表、情報流出先の法律事務所を捜査する方針だ。米司法省も米国の法律に違反している事実がないかどうかの捜査を開始した。