トップ人事にも影響
セブン&アイグループは、ヨーカ堂が赤字に転落、百貨店の売上伸び悩みなどから、サード・ポイント側からヨーカ堂の不採算店舗の閉鎖要求などを突き付けられていた。これを受けてセブン&アイは、3月8日に「そごう柏店と西武旭川店の2店舗とヨーカ堂の不採算店20店舗の閉鎖」を柱にした構造改革を発表したが、サード・ポイント側はこれだけでは不十分だとみていた。
各社の報道によると、セブン―イレブンの井阪隆一社長を交代させる人事案にも反対し、セブン&アイの取締役宛てに書簡を送った。書簡ではセブン―イレブン・ジャパンの社長交代のうわさがあるとした上で、「鈴木会長が子息の鈴木康弘氏を将来のセブン―イレブン社長、セブン&アイのトップに就ける道筋を開くといううわさも聞いている。真実ならトップとしての判断力に重大な疑問が生じる」などと、将来、セブン&アイグループのトップに就任させる世襲人事案を批判していた。
セブン&アイでは人事の透明性を確保するため、この3月に指名・報酬委員会を設置し、この場でセブン&アイ・ホールディングスや傘下の企業のトップ人事が議論されてきた。この委員会では、井阪社長の後任に古屋一樹副社長を昇格させる人事案に対して社外取締役らが反対を表明していたが、委員会委員の鈴木会長が押し切る形で指名報酬委員会として交代人事案を提案した。しかし、同日の取締役会ではこの人事案をめぐって意見が割れ、否決された。
セブン&アイをコンビニ、総合スーパー、百貨店まで抱えた日本最大の流通大手企業に育て上げたのは鈴木会長の力量によるところが大きく、誰も逆らえないカリスマ経営者として君臨していたが、トップ人事については取締役会で賛同を得られなかった。
ローブ氏はこの否決を受けて7日付けで「鈴木会長の後継候補の選定では、セブン&アイ・ホールディングスの取締役会が、実績と株主の最善の利益に基づき選考をしたことを嬉しく思う。日本の将来にコミットしている投資家として、セブン&アイ・ホールディングスのコーポレート・ガバナンスが安倍首相の進める第3の矢に沿って進化を遂げたことを大変喜ばしい」とのコメントを発表した。