2024年11月22日(金)

したたか者の流儀

2016年5月10日

 昨今、日本で新聞を開くとプライベートバンキングの広告が目に付く。本屋でも、あなただけに教えようという調子の本がいくつも出ている。

 世の中には、小金ができたり、親が死んで金が転がり込んだりすると、少し儲けたいとか、何かいいうまい方法があるに違いないと考える凡人も多い。よこしまな考えを持つと、あざ笑うかのように、釣り糸が垂れ下がって来ることが多いのだ。

 実は金があると他人にはあまり語らない。統計上、日本の所得中央値は400万円そこそこだから、みんな生きるのがやっとだと思っている。

 世の中には、3つのウソがあるといわれている。一つはかわいい嘘、もう一つは真っ赤なウソ。3つめは統計だそうだが、実際には、所得や富の集中度を測定するジニ係数は、0.5 に向かって上昇している。0.5 というと、75%の富が、上位1割の人に占有され、残りの25%を90%の人々で、分けわけするということだ。

ジニ係数0.5は、暴動・革命危険域

 日本は、平等で、この数字が低くて有名であったが、最近は急上昇中。
0.5になると、暴動・革命危険域で、金持ちは私兵を雇って、安全地帯に住むことになる。

 奇妙な成果主義と貧困の連鎖で、ここに行き着くのも遠くないのではないか。

 日本が高度成長のころ、いや、バブルの後でも、大企業のトップの収入は新入社員の数十倍であったが、今は違う。200倍、300倍になってきている。

 さて、運よく富裕層に転換できた人はどのような行動をとるのであろうか。あまり豊かではなくなった日本は、税収も少なく経済成長もなければ、国家としては、金のある人から巻き上げざるを得ない。

 年間相続額合計は50兆円に達したようだ。今のところ、ココから1.5兆円くらい召し上げられているが、去年の4月から相続最高税率が引き上げられ55%となった。世界1位だ。そもそも、もらったものだからいいだろうという発想があるのかもしれない。

 しかし、世界の国々で相続税のない国はいくらでもある。先進国のサロンといわれるOECD加盟国でも平均15%程度のようだ。

 そこで、諸般の事情で食い詰めている大手金融機関が世界中から、温厚なジャポニカ種の金持に釣り糸を垂れているのだ。

 既に、彼らは、米国での脱税幇助事件などで完膚なきまで叩かれ、スイスの銀行守秘義務も全くないと考えていいのだ。裏金をもって日本から脱出できたとしても、今後はすぐにネタバレしてしまうだろう。さらに、やましいお金でなくとも昨年の7月1日から出国税が課せられ、タックスヘイブンに逃げても、相続税を逃れることはできない。


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