2024年12月8日(日)

WEDGE REPORT

2016年4月26日

 これも「トランプ効果」の負の一面なのか。米国で現在、国の分断とも言える異常な事態が進んでいる。

個人が望む性のトイレ、更衣室などを使う権利がある

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 きっかけとなったのは「バスルーム法」と呼ばれる、ノースカロライナ州の法律だ。米国では多くの州で性同一性障害を含むトランスジェンダーの人々(LGBT)への対応が進んでいる。カリフォルニア州を始め、「その個人が望む性のトイレ、更衣室などを使う権利がある」ことが法案化された。

 特に公立の学校で、「自分は女の子」だと信じている男子生徒(あるいはその逆)が、女子トイレなどを使うことを認める州が増えている。ニューヨークのように、小学校のトイレの男女別をなくし、ひとつの入り口で内部だけ左右に分かれる、という方式を導入するところもある。ところがこうした傾向に逆行するように、ノースカロライナでは「生まれ持った性別以外の性のトイレなどの使用を禁じる」法案を3月23日可決させたのだ。

 これに真っ先に反応したのがニューヨーク州知事、アンドリュー・クオモ氏だ。同氏は3月28日「ニューヨークでは性別のアイデンティティーもしくは性的嗜好に関わらず、すべての人が同様の権利と法による庇護を与えられる、と信じる」という声明を出し、政府関係者による「緊急の用件」以外でのノースカロライナへの渡航を禁ずる法案を提出した。ニューヨーク市長、ビル・デブラシオ氏も同調、「ノースカロライナへの旅行を自粛」するよう市民に要請した。

 しかし、こうした動きはノースカロライナ単独ではない。ミシシッピ、ミネソタ、ジョージアでも同様の法案が提出されている。ジョージア州では知事が「法案が可決されれば拒否権を発動する」と宣言したが、デブラシオ市長は「もし拒否権が通らなかった場合、ジョージアにも同様の渡航自粛令を出す」とコメントした。

 政界だけではない。この「性差別」にもつながる法案は、ビジネス界、エンターテイメント界、スポーツ界にも破紋を広げている。


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