2022年8月17日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年5月23日

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 筆者は、台湾の防空または制空権については、台湾の保有する戦闘機ではできないと結論付け、地対空ミサイルを中心とした防空戦略を主とすべしと論じています。

 中台間の軍事バランスが中国有利になっていること、空軍についても量・質の面で中国が台湾を圧倒していることは明らかです。台湾が台湾のみで中国に対して台湾空域の防衛をすることを考えれば、こういう結論しかありえないでしょう。

米国介入の有無は最重要ファクター

 しかし、中国が台湾を大規模攻撃する際に、米国が何もしないという事態は台湾関係法との関係からも考えられません。米空軍が台湾防衛に乗り出す場合には、状況は大きく異なってくるでしょう。そういう状況を念頭に置いていないという点で、この報告書は現実に起こりうる事態を十分に踏まえていないのではないかと思われます。

 また、台湾の戦闘機についても、質の良いものを米が供与すれば、台湾側の質的劣勢はある程度是正されるのではないでしょうか。

 純粋な軍事的評価をすることも重要ですが、有事の際には、政治的に色々なことが起こり得ます。それをも考慮して、台湾としては適切な判断をすべきものではないかと思われます。

 米国の介入の有無は、本件について考える上で最重要のファクターです。あたかもそれがない場合を想定しての議論は、誤解にもつながり得ます。

 なお、日本が与那国島に対空ミサイルを配備し、日本の空域を守ることは、台湾上空の制空権のあり方にも影響を与えるでしょう。南西諸島防衛と台湾の関係については、検討してみる必要があります。

  
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