決選投票にもつれ込むと思われたものの、1回の投票ですんなり決まった。2名の有力候補のうち、負けた候補者に投票したと言っていた人に「残念だったね」と言うと、「いや、もういいんだ。色んなことがあって僕たちは本当に疲れたから。1日も早く新しい大統領が決まるということが重要で、後は彼のもとでみんなが頑張るだけ。1回で決まって良かった」と言われ、2014年10月の市民蜂起からブルキナファソが辿ってきた道のりが、人それぞれに複雑な感情をもたらしていることを痛感した。
選挙を終え、よし、心機一転、再出発だ、と歓迎ムードだった新政権発足の出鼻をくじいたテロでは、ブルキナファソの方も多く犠牲になっている。
馴染みのカフェでテロが起きたのは今年1月15日の金曜日の夜のことだった。
清潔で、メニューが豊富で、発電機のお蔭で停電時も安心で、無線インターネットも使うことができて、一人でふらっと涼みに行くにも、人とお茶をするにも、海外からの来訪者と食事をするにも重宝していたお店。顔なじみの店員も多くなり、息抜きにはぴったりだったお店。
偶然にも、その日は日本人コミュニティの集まりがあったため、テロ発生時のお店に日本人はいなかったが、子供を含む多くの方が犠牲になり、国全体が悲しみに包まれる辛い出来事となった。
発生直後、仕事相手の農業省の職員から「どこにいるんだ。大丈夫か。街の中心は通らずに早く家に帰れ」と緊迫した電話があった。発生は19:30頃。同日23:00頃にはイスラム・マグレブ諸国のアルカーイダ(AQIM)が犯行声明を出しており、これまでブルキナファソ国内でヨーロッパ人の誘拐事件を起こしているアル・ムラービトゥーンという組織が実行犯であるとされた。カフェ向いのホテルへの襲撃もあった後、治安部隊とのにらみ合いが続き、深夜2時頃から断続的に銃撃音と爆発音が聞こえ、なかなか寝付けず朝を迎えた。治安部隊による攻撃終了は翌朝8:00。
ワガドゥグの街に、真っ黒に焼けた建物がまた増えた。