2024年4月24日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年6月1日

歴代首相で最も中国寄りのターンブル

 今回の仏の受注の理由として、入札者の仏国営DCNS社が、プロペラではなくジェット水流で静かに推進する極秘のステルス技術を初めて国外に提供する約束をしたことが指摘されています。

 しかし、仏の受注の背景に中国の圧力があったことは確かなようです。

 アボット前首相は親日的で、日本の受注を支持していたようですが、ターンブル首相は、豪州の歴代政権の中で最も親中といわれ、中国の反日キャンペーンが奏功したのではないでしょうか。北京の共産党関係者は「中国の外交上の勝利だ」との感想を漏らしたと伝えられています。

 中国にとって日本の受注を阻止したのは「勝利」かもしれませんが、豪州が最新の潜水艦を建造することは別問題です。事実、人民日報系の環球時報は、米国と同盟関係にある豪州がフランスと共同で次期潜水艦を建造することは「米国の西太平洋戦略を後方から支える戦力になる可能性が高く、中国の安全保障にとってマイナスだ」と批判しました。

 今回の入札は日本にとって敗北であり、痛いことですが、豪州が最新の潜水艦を建造すること自体は、南シナ海での中国の行動を牽制するものとして、日本にとり歓迎すべきものです。今回の入札は入札として、日本は今後とも米国や他の関係国を含む豪州との安全保障面での協力を一層推進すべきです。

  
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