[ベトナム・カンボジア・ラオス・タイ]
(2014.10.25-12.29 65days 総費用18万円)
知的美人は英国の児童心理学専門家
12月4日 カンボジアのシェムリアップを出発してストウ・トレンというメコン川沿いの田舎町で1泊して翌日ラオス国境を越えた。昼下がり、鄙びた場所で検問所を出ると何もない。地元の人々が三々五々と出迎えの車やバイクで去ると周囲に誰もいなくなった。ストウ・トレンの雑貨屋のオヤジから買ったバスのチケットはラオスのメコン川の中州の景勝地シーパンドン行きのはずだが。
外人旅行者がどこかにいないか見回すと欧米系女子が一人だけ検問所から出てきた。彼女、エレンも途方に暮れる。検問所の係官に尋ねるも埒が明かない。それから車が通りかかる度にシーパンドンに行くか聞くが“No”ばかり。迎えのバスが来るのかどうか不明だが持久戦で待つことに。
やることがないのでエレンと雑談。エレンは英国人、28歳。児童心理学の専門家でなかなかの知的美人だ。ロンドンの青少年センターのような機関で働いていたが社会福祉関連予算削減により失業したと。英国では人員削減のときはキャリアが浅い若い職員から順番に解雇するのでエレンは真っ先に解雇対象に。
英国も年功者優先の雇用制度なので必然的に若年労働者の失業率が高くなり青少年の犯罪も増加傾向にあり、青少年問題専門家が不足しているのに人件費を予算削減するのは社会ニーズに逆行していると彼女は舌鋒鋭く現政権批判。彼女の分析によると英国社会では外国人労働者の流入で単純労働の賃金は下降。また従来の英国人の高卒や専門学校卒の若者の職場も東欧や南欧などのEU域内からの低賃金の出稼ぎ労働者の若者に奪われている。
そのため学業成績が普通かそれ以下の階層の英国籍若者の就業が難しくなっている。そうした社会状況に未来が見えない青少年が犯罪に走ったり、飲酒や麻薬に溺れたり、精神的に病んだりしてゆくという構図になっていると。エレンは警察に拘留された青少年の面接や保護観察中のカウンセリングなどを担当していたが社会状況そのものを改善する対策がないことに無力感を感じていたという。