2024年12月22日(日)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2016年5月16日

 上海で久しぶりに会った中国のアパレル業社から面白い話を聞いた。某日系大手アパレルメーカー(以下「A社」とする)と、H&M両方と取引があるが、両者の社風は随分と違うとのこと。聞いていて日系企業に共通する問題点があると思いまとめてみた。

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 1. 気持ち

 A社に商談に行くときはいつも憂鬱な気持ちになる。サプライヤーに対する最低限の礼儀もない。アポ時間通りに出向いても、3時間4時間待たされることはざら。遅れても詫びの一言もない。H&Mに行くときはいつも楽しい気持ちになる。コーヒーを飲みながらパートナーとしてくつろいで商談出来る感じ。時間厳守は当然のこと。

 2. トラブル処理

 問題が起きた時、A社では経緯に拘らず全てサプライヤーのせいにされる。(A社では極めて短期間の周期の評価でポジションも給与が違ってくるので、担当者はなんとしても自分が責を負うのを回避しようと、汲々としているイメージと)。H&Mでは、どこに問題の所在、本質があるのか一緒に合理的に分析してくれる。

 3. 評価されるポイント

 A社はコストと品質中心。H&Mは、コスト、品質以外の付加価値も積極的に評価してくれる。

 4. 社員の学歴

 中国で見る限りA社は大学のネームに拘らない。色々な大学の出身社員がいる。H&Mは、基本北京大学、清華大学、復旦大学、武漢大学など超名門大学の出身者で固められており、それがいいかどうかは別にして確かに優秀。

 5. 社風

 A社は社内の人間関係がギスギスしている雰囲気。H&Mの社員はファミリーとしての帰属意識が強い。

 6. コストと品質問題

 最近A社からは、納入価格引き下げの要求がさらに高まっており(商材によってはいきなり半額を求められる)。その結果、見えない部分の質を落として対応することになっている。そのことは、A社の担当者も知っているが、もともとギリギリでやってきたのでそれ以上削るのであれば仕方ないということで担当者ベースでは納得してもらっている。程度の問題ではあるが、同様のことが積み重なると全体の品質低下、延いてはA社のブランド価値低下と業績下降といった負のスパイラルに陥るのではないかと心配している。なんだかんだ言っても大事なお客さんなので。


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