Wedge REPORT

2016年6月29日

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井上久男 (いのうえ・ひさお)

ジャーナリスト

1964年生まれ。88年九州大学卒業後にNEC入社。92年朝日新聞社に転職。主に経済部で自動車や電機産業などを担当。2004年に独立。著書に『メイド イン ジャパン 驕りの代償』(NHK出版)。近著は『自動車会社が消える日』(文春新書)。

 現在、プロジェクトチームは住民一人ひとりにアンケート調査して、生活者のニーズを把握、生活実態に合った交通網の構築に向けて動き始めたばかりだ。6月末までにトヨタ車体製の一人乗りの小型EV「コムス」10台を試験導入する計画だ。

棚田が広がる山間部の細い道を電気自動車が走る (HISAO INOUE)

 基金では今年3月、2号案件として愛知県豊田市足助地区への助成も決めた。助成金は3年間で3億6000万円。名古屋大学の研究を具現化し、停留所と自宅間の「ラストワンマイル自動運転」などの実証実験をする。また、農業や林業にも利用できるように、中山間地域に適した「コムス」の仕様も検証していく。

 今後、中山間地域の高齢化は加速し、移動手段確保がますます大きな課題になる。豊岡市のように行政が大きな青写真を描き、運営は地元主体、あるいは美作市のように計画も運営も民間が主導、そして愛知足助地区のように大学のアイデアの実証化、といった様々な対応策がある。成功のカギは、「自助」にあると筆者は感じる。行政などから押し付けられたものではなく、各地域の実態に合った移動手段をどう確保するか、住民一人ひとりが考える時代が到来しつつある。
 

  
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◆Wedge2016年7月号より

 

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