2024年4月18日(木)

WEDGE REPORT

2016年7月12日

ロシア極東港ザルビノが“世界の物流ハブ”に?

こんな海底ルートも実現するかもしれない

 ロシアの運輸相、マクシム・ソコロフ氏はすでに中国吉林省とロシアの極東港であるザルビノを結ぶ70kmのハイパーループを検討中だという。実現すればザルビノは「15年後には世界の物流のハブになる」との自信を見せる。この路線の建設見積もりは4億5000万ドルから6億ドル程度で、現在計画が進行中のモスクワ〜カザン間の高速鉄道と比べてキロ当たりのコストは半分以下だ。

 ハイパーループ・ワンが国外でのプロジェクトに大きな一歩を踏み出したのと同時に、ライバルであるハイパーループ・トランスポーテーション・テクノロジーズもカリフォルニア州でのテストトラック建設を開始、こちらもすでにスロバキア政府との提携を結んでいる。現在はルートを検討中ということで、オーストリア、ハンガリーにつながる国内路線が実現する可能性がある。

 米国生まれの技術が米国よりも先に国外で実現するかもしれない、という不思議な現象だが、ロシアや欧州で成功すれば米国も各地で実現が挫折している高速鉄道計画から一気にハイパーループへと軸を変える可能性もある。

 問題はハイパーループ・ワンが物流での導入を考えていることから分かるように、実際のハイパーループは人間の移動向きではないのでは? という意見が見られることだ。音速で移動する乗り物に普通の人間が耐えられるのか。モスクワ市内の計画のように、あえて低速にしないと実用化は困難ではないのか。その場合、鉄道と比べてどれだけのメリットがあるのか。

 それでもハイパーループというシステムに夢があることは確かで、今後数年間で本当にどこかで実現すれば、それを機に一気にハイパーループが流星になる可能性は十分にある。ロシアかスロバキアか、あるいはやはり米国内か。実際のハイパーループの稼働に期待がかかる。

  
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