「地上を音速で駆け抜ける未来の交通機関」として、テスラCEOイーロン・マスク氏が提唱したハイパーループが、いよいよ実現に向けて動き出した。ハイパーループは2013年にマスク氏が経営する宇宙ロケット事業、スペースXの一部として併設。アイデアとしては真空状態に近いチューブの中をPodと呼ばれる車両が圧縮空気を押し出すことで浮上して進む乗り物だ。ちょうどエアシューターのような考え方で、最高時速900マイル(1500キロ)が可能という。マスク氏は「自分で開発したいが時間がない」として、技術などをオープンソースで公開(http://www.spacex.com/sites/spacex/files/hyperloop_alpha.pdf)。広く実現可能なシステムを募り、2016年6月15日にコンペを開く、としている。
ハイパーループの実用に向けて競う2社
これに真っ先に呼応したのが、ハイパーループのアイデアに賛同した企業家グループだった。すでにハイパーループ・テクノロジーという会社を設立、 昨年には北ラスベガスにテストトラック建設を開始、早ければ今年夏にもテスト運行を行うという。
ハイパーループ・テクノロジーのイメージ
ハイパーループ・テクノロジーCEOは元シスコ社長、ロブ・ロイド氏。同氏は「2020年には実際に商業運用が始められる、という自信を持っている」と語る。ハイパーループは建設コストが安く、ひとたび軌道に乗れば全国に路線を伸ばすことができる。まさに21世紀型の夢の高速移動技術だという。
ハイパーループ・テクノロジーはマスク氏のアイデアに乗った形ではあるが、スペースXとは無関係に独自の実現運営を目指す。いわばスペースXのライバルとなりえる会社だ。
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