2024年11月22日(金)

世界の記述

2016年7月7日

ISの新たな戦略は世界各地へのテロの拡散

 シリア及びイラクでの戦闘面での敗退が続くなか健在ぶりを誇示したいためなのか、IS戦闘員やIS同調者による中東のみならず欧米やアジアでのテロ攻撃が急増している。同時に、こうしたテロを警戒する当局によるIS要員・同調者の摘発も増えている。

 欧米では6月を見ただけでも、ISに忠誠を誓う者による米フロリダ州オーランドの男性同性愛者のナイトクラブでの乱射事件(6月12日)、フランスのパリ北西55kmのマニャンビルでの警察官夫妻刺殺事件(6月13日)、ベルギーでのイスラム過激主義者3人のテロ殺害計画容疑による逮捕(6月18日)、スイスでのイスラム過激派指導者の拘束(6月22日)などと相次いでいる。

 アジアを見ても既に言及したバングラデシュ以外でも、世界で最もイスラム教徒の多いインドネシアで6月9日、第2の都市スラバヤでの自爆テロを計画していたイスラム過激派3人が逮捕されているし、マレーシアでも3月24日、ISとの関連が疑われる15人がテロ計画容疑で逮捕されている。

 注目されるのは東アジアの韓国でも情報機関の国家情報院(NIS)が6月19日、ISハッカー部隊が世界中の米国と北大西洋条約機構(NATO)の空軍施設77カ所の情報を収集のうえ暗号化されたメッセージ・サービスの無料通信アプリで支持者に攻撃を呼びかけたとし、その中に韓国北西部の烏山空軍基地も含まれていたことを明らかにしたことである。しかも韓国政府は、ISが昨年15年11月に起きたパリの同時多発テロ事件後、関心対象を欧米からアジアに拡大したので警戒が必要であると強調している。

 実は我が国ではあまり知られていないものの、韓国政府が昨年10月下旬、爆弾製造原料を違法搬出しようとしていたIS同調者を摘発したほか、11月中旬にはアル・カイダ系ヌスラ戦線を支持するインドネシア人を出入国管理法違反の容疑などで検挙している。


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