近年急増していた宗教絡みの殺人事件
実はバングラデシュでは下表に見るように15年以降、宗教絡みの殺人事件が急増している。16年は上半期だけで既に14件も発生している。さらに驚かされるのが容疑者の大部分が富裕層の出身者であった点である。
実際、バングラデシュのハサヌル・ハク・イヌ情報相はインドのNDTVで「レストラン(ホーリー・アルティザン・ベーカリー)の襲撃者の大部分は極めて良い教育機関の出身者である」「一部は高尚な学校に通っていた」「彼らの家庭は相対的に裕福である」(http://www.bbc.com/news/world-asia-36704853)と説明し、富裕層の若者が容疑者の大部分を占めたことを認めている。
例えば、リーダー格とみられるニブラス・イスラム容疑者(22歳)は首都ダッカのインターナショナル・スクールであるターキッシュ・ホープ学校卒業後、最高位の有名私立大学ノース・サウス大学に進学し、さらに年間の学費が9000ドル(約90万円)もするマレーシアの首都クアラルンプールにある豪州系のモナシュ大学に留学していた。
またロハン・イムティアズ容疑者(20歳)の父親は与党「アワミ連盟」ダッカ市幹部兼バングラディシュ・オリンピック委員会副事務局長。母親はダッカにある英語で教える私立名門学校「スコラスティカ」の教師であった。同容疑者自身も私立名門学校「スコラスティカ」卒業後、ニブラス・イスラム容疑者と同じマレーシアの大学に留学していた。
一般には穏健なイスラム国家として知られるバングラデシュだが、近年の宗教絡みの殺人事件の急増は若者を中心にイスラム過激思想が急速に拡散し治安が思われていたより悪化していたことを示していると言えそうだ。