2016年7月1日午後9時(日本時間2日午前0時)頃、バングラデシュの首都ダッカの中心部の外国人が頻繁に利用するレストラン「ホーリー・アルティザン・ベーカリー」に武装した男らが押し入る人質テロ事件が発生した。事件自体は約14時間後に強行突入した警察と軍が、犯行一味の6人を射殺し1人を拘束したことで終了した。
テロ発生直後の現場。銃撃により負傷した警察官が支えられている(Getty Imaegs)
日本人も犠牲となったバングラデシュテロ事件
我が国にとって衝撃的であったのは、犯人たちに鋭利な刃物などで殺害されたと見られる20人の遺体が現場から見つかり、そのうちの7人がバングラデシュの運輸インフラ整備のために同国入りしていた日本人であったことである。海外展開を積極化する日本企業にとっては、平素からの情報収集・分析の重要さを改めて思い知らされる事件となった。
気になるのはいかなる組織が何の目的で事件を起こしたのかである。イスラム国(IS)のバングラデシュ支部を名乗る組織が日本時間の3日未明、インターネット上に犯行を認める声明を出している。だが、これまで国内にはISもアル・カイダも存在しないと言い続けてきたバングラデシュ政府は、これを完全否定し国内の過激派組織「ジャマトゥル・ムジャヒディン・バングラディシュ(JMB)」の犯行と主張している。