トルコのイスタンブール空港テロに続いて、今度は1日、南アジアのバングラデシュの首都ダッカのレストランが武装グループに襲撃され、国際協力機構(JICA)関係の邦人7人(男5人、女2人)を含め外国人20人が殺害された。過激派組織「イスラム国」(IS)の関与が濃厚。海外での邦人の身の安全の守り方があらためて問われそうだ。
“赤信号”はすでに点っていた
襲撃犯は6人が治安部隊に射殺され、1人が拘束された。バングラデシュ当局は犯行組織や背後関係を断定していないが、IS系のアマク通信が犯行声明を出し、店内から送られたとみられる遺体のもようなど現場写真を公表。加えて犯人らが襲撃の際、「アッラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んでいることや、無差別銃撃や爆弾を爆発させる手口などから地元のIS連携組織の犯行の可能性が高い。
ISがアジアでテロを起こしたのは今回が初めてではない。1月14日、世界最大のイスラム教国であるインドネシアの首都ジャカルタの中心部でIS分派によるテロが起きている。IS絡みの大規模なテロとしては、アジアで2件目ということになる。
バングラデシュの人口1億6100万人の90%以上がイスラム教徒で、同国でも過激主義の思想が高まりを見せていた。地元メディアなどによると、2013年以降、約40人が過激派に殺害されているが、これらのテロ事件のうち18件はISの地元組織が犯行声明を出している。
18件の中には、過激思想への反対を説いていた有名なブロガーがダッカで殺害された事件をはじめ、2015年10月、北部ランプル近郊で発生した日本人、星邦男さんが銃撃されて死亡した事件も含まれている。星さんは農業関係のプロジェクトに携わっていた。これに先立つ9月にもイタリア人がダッカで殺害される事件が起きている。
このようにバングラデシュではISのテロが頻発するようになっており、今回のレストラン襲撃のようなテロがいつ起きても不思議ではなかった。つまり「テロの赤信号は早くから点っていた」(テロ専門家)ということだ。