サイバー空間の権力論

2016年7月8日

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塚越健司 (つかごし・けんじ)

拓殖大学非常勤講師

1984年生。専攻は情報社会学、社会哲学。著書に『ハクティビズムとは何か』(ソフトバンク新書)、共編著に『「統治」を創造する』(春秋社)、など。TBSラジオ『荒川強啓デイ・キャッチ!』火曜ニュースクリップ担当としてレギュラー出演中(http://www.tbsradio.jp/dc/)。

 ショーン・パーカーはその後起業や投資など幅広く活動し、フェイスブックの初代CEOも務めている。2009年には音楽ストリーミングサービスの「スポティファイ(Spotify)」にも投資を行うなど、音楽やシェア=共有といったIT業界のトレンドの最先端を行く人物と言ってもいいだろう。

公開同日に映画をネット配信
既存産業への配慮も

 そんなショーン・パーカーが今回手がけようとしているのが、スクリーニングルーム(Screening Room)というサービスだ。スクリーニングルームは現時点ではホームページがあるだけで、その内容について公式の声明はない。しかしその内情に迫った報道によれば、スクリーニングルームは画期的なサービスを手がけようとしている。

 報道によれば、スクリーニングルームは劇場公開と同日に新作映画をネット配信する。ネット配信は48時間限定のレンタル費用が50ドル。さらに初回は海賊版防止のための装置などの費用が150ドルほど請求されるという。

 スクリーニングルームはナップスターのように既存産業の敵になるつもりはない。ネット配信費用50ドルのうち、20ドルを映画館に払い、さらにユーザーに無料の映画チケットを二枚渡すことで既存産業との共存を考えている。チケットがあればもう一度映画館の大きなスクリーンで鑑賞したり、他の映画を鑑賞しに映画館に行けば、映画館側もグッズや飲食などで儲けがでるという計算だ。

 アメリカの映画料金は平均して10ドル程度であり、無料チケットがもらえるとしても50ドルは高額だ。とはいえ、家族や友人と映画をシェアするなど、5人で映画を鑑賞すれば元は取れると捉えるユーザーもいるだろう。

ビジネスモデルに影響も?
ハリウッドでも賛否両論

 映画館だけでなく配給会社にとってもこのサービスが敵か味方なのかを見極めることは重要だろう。ハリウッドではすでに賛否両論の意見があるという。おそらく配給会社など様々な関係企業と水面下の交渉が現在行われていると推測される。

 ここでは仮にスクリーニングルームがサービスを開始した場合の問題を考えたい。やはり第一に浮かぶのは海賊版への懸念だ。どんなに保護機能があれども、機能を解除して違法にアップロードするユーザーは現れるだろう。海賊版に対するさらなる防止策は必要不可欠である。

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