赤坂英一の野球丸

2016年7月13日

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広島には何が起きていたのか?

 ところが、一方で広島の選手たちに聞いてみると、「札幌での2連敗は巨人が言うほど大したことじゃない。まだこっちが首位で、全然ショックは受けなかった」という答えが返ってきた。「巨人の逆転優勝を許した裏側には別の原因があった」というのだ。のちになってそう明かしてくれたのは、球団史上に残る名投手で、96年には抑えを務めていた佐々岡真司(現二軍投手コーチ)である。

 「いや、あの年はオールスター明けにチームが集団で風邪にやられたんです。ぼくも風邪に感染して、山内(泰幸)が代わりに抑えをやったら、(7月26〜28日の横浜での3連戦で)3連敗したでしょう。あそこからおかしくなって、最後までズルズルいってしまった」(拙著『広島カープ論 蘇る赤ヘル』PHP研究所より)

 当時の三村敏之監督も、巨人の猛烈な追い上げに焦ったのかもしれない。絶対の守護神だった佐々岡を連投させ、終盤で逆転されるケースが増えたことも痛かった、と評論家は指摘している。つまり、広島側から見れば、巨人の勢い以前に、自分たちがかかった集団風邪に加え、投手起用が裏目に出て自滅したのが「メークドラマ」の真相というわけだ。

 だから、今年カープが最後まで首位を守るには、至極当たり前のことだけれど、選手の体調管理が一番。リリーフ陣に関しては不動の抑えに中崎翔太が座り、セットアッパーのヘーゲンズとジャクソンの両外国人、さらに後ろに回った九里亜蓮、故障明けの一岡竜司も安定感を増してきた。そこへバックアップ要員として新外国人のデラバーまで加わるのだから、96年の二の舞はないと信じたい。

 巨人には、打線の起爆剤となる選手が望まれる。いつまでも坂本勇人、長野久義、阿部慎之助、村田修一を頼りにしているようではなかなか勢いがつかないだろう。もっと言えば、高橋由伸監督にかつての長嶋さんのように、選手を鼓舞する「言葉の力」と発揮してほしいが、これはやはり無い物ねだりか。

  
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