2024年11月22日(金)

前向きに読み解く経済の裏側

2016年9月26日

黒字の店でも閉じるべきケースあり

 夫婦2人で零細商店を経営し、毎月20万円の利益を稼いでいるとします。「その店を閉じて2人とも働きに出れば、20万円以上の給料が稼げる」のだとすれば、ただちにそうすべきです。あるいは店が一等地に建っている場合には、その土地を高い値段で借りてくれる人が見つかるかも知れません。もちろん、子育てをしながら働けるのは自営業しか無いから仕方なく続ける、といった事情があれば別ですが。

 赤字の店ならば、「赤字だから閉じよう。閉じてからどうしようか」と考える人が多いでしょう。かえって小幅な黒字が出ているために、考えるきっかけがなく、ズルズルと店を続けてしまう場合も多いようですが、気をつけたいものです。

 同様のことは、大企業でも起こり得ます。社内のエリートを集めた精鋭部隊が小幅の黒字を稼いでいるとします。社長としては、「せっかくエリートを集めているのだから、もっと頑張って稼げ」と檄を飛ばす選択肢もあるでしょうが、いっそうのこと、その部署を解散して、エリートたちを他の部署に配置転換する、という選択肢も考慮してみる必要があるでしょう。

 エリートたちは、他の部署に行けば、それぞれの持ち場で業務改善等を行なって多いに収益に貢献するかもしれません。そうして生まれるかもしれない収益は、精鋭部隊を閉じ込めていることの「機会費用」なので、それを考えれば当部隊は「赤字部門」ということになるからです。

 これも、いっそうのこと赤字に転落してしまえば解散を思いつくのでしょうが、小幅な黒字を稼いでいるが故に解散に思いが至らない、ということは十分に考えられます。気をつけたいものです。


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