2024年4月26日(金)

海野素央のアイ・ラブ・USA

2016年7月17日

ケイン上院議員のコミュニケーションスタイル

 ケイン上院議員のコミュニケーションスタイルと筆者が持った印象についても紹介しましょう。10年及び14年の米中間選挙で、筆者はジェリー・コノリー下院議員(民主党・バージニア州第11選挙区)の選対に入り戸別訪問を実施しました。その頃、同上院議員はコノリー下院議員の応援のために選対を訪れたり、バージニア州民主党が開催したイベントに参加していました。

 ケイン上院議員の有権者に対するアプローチの仕方は非常にユニークです。初対面の若者の有権者に対して「自分について語ってくれますか」と質問をし、彼の話に積極的に傾聴するのです。同上院議員は決して自分の意見を相手に押し付ける(push)のではなく、引き出す(pull)コミュニケーションをとるのです。その姿が印象に残っています。2016年3月にコノリー下院議員に今回の米大統領選挙に関してインタビューをした際、クリントン候補が同上院議員を起用することを強く望んでいました。

 2016年7月にバージニア州北部で開催された集会でクリントン候補と一緒に登壇したケイン上院議員は、若者の有権者に効果的な質問を投げかけていました。「人を解雇する大統領か、雇用する大統領か」「人をこけおろす大統領か、人間関係を構築する大統領か」「自己中心的な大統領か、子供や家族を気遣う大統領か」どちらを選択するのか、若者に問いかけたのです。トランプ候補とクリントン候補の対比を明確にした質問です。勿論、前者がトランプ候補で後者がクリントン候補であることは明らかです。

 再三指摘してきましたが、クリントン陣営は地上戦の核となる戸別訪問を実施する実動部隊の駒が不足しています。仮にクリントン候補がケイン上院議員を副大統領候補に選んだ場合、果たして同上院議員が、サンダース陣営に参加していた熱狂的なボランティアの若者をクリントン陣営にもたらすことができるのでしょうか。クリントン陣営にとって、本選の結果を左右する極めて重要な要因となります。
 

  
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