世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年7月26日

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 前NATO司令官による、ロシアを主敵と認定、冷戦の復活を宣言したような論文を、米外交問題評議会の機関誌Foreign Affairsが掲載した意味は重いと言えます。米国がロシアを主敵と認定すると、日本の対ロ政策は進めにくくなります。しかし、ロシア主敵論は米国においても未だコンセンサスになったわけではありません。米大統領選の行方も含め、更なる観察が必要です。

 この論文は、ポーランド、バルト諸国の安全保障に過度とも言えるほど入れ込み、それによってロシアをさらに敵の立場に追い込んでしまう論調です。このような立場はネオコンや東欧出身のロシア専門家の何人かによって主唱されていますが、キッシンジャー、オルブライトを初め、ロシアとの妥協を唱える一派も根強いものがあります。

欧州重視かアジア重視か

 また、米陸軍にとり欧州方面の強化は予算増を正当化する材料となるのに対して、海軍、海兵隊にとっては、アジア重視の方が予算増につながるという事情もあります。

 そして、ポーランド、バルト諸国以外の欧州諸国は、この論文の反ロ路線には到底与し得ません。イスラエル、サウジアラビア等、中近東における米国の同盟国もロシアと良好な関係を持している他、中東の米軍が欧州に取られて手薄になることを喜ばないでしょう。

 それでも、ヒラリー・クリントンが大統領になった場合、ネオコン的言動を繰り返してきたヌーランド国務次官補、あるいは在ロ大使でありながら、反政府活動家たちとこれ見よがしな関係を持する等、物議をかもしたマクフォールが対ロ関係を担当することとなれば、少なくとも当初は強硬な対ロ路線が取られることとなるでしょう。
 

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