2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年7月15日

 ウォールストリート・ジャーナル紙は、モディ首相の訪米につき、6月9日付で社説を掲載し、モディの米議会での演説を評価、米印関係強化を歓迎しています。要旨、次の通り。

米印関係の強化
100億ドルの武器貿易

 6月8日、モディ首相は米議会合同会議で演説し、「米印の紐帯は21世紀を定義づけるパートナーシップである」とのオバマの発言に賛意を示した。この演説の内容は正しい。

 米印関係強化の約束の多くは、相互防衛についてである。二国間の武器貿易は10年間でゼロから100億ドルに増大、米国はインドを「主要な防衛パートナー」と位置づけ、米国の最も緊密な同盟国などに限られてきた軍事技術をインドにも提供する約束をした。これは、インドの空母建造、米国が設計した戦闘機の国内生産といったセンシティブな領域での米印協力を加速させよう。これは、インドの軍事力強化、非効率な工業の現代化の鍵を握る。

 モディとオバマは、米軍がインドの港湾と事前集積装備を使用できることを定めた兵站に関する協定にも合意した。

 こうした進歩は、米国に対し懐疑的なインド当局を動かしたモディの業績である。しかし中国がインド洋でのプレゼンスを高め、南シナ海で近隣国に嫌がらせをしていることも、米印関係の前進を促す要因となった。

 商業面では、米エネルギー大企業Westinghouseがインドで6基の原発を設計、建造すると発表された。これは、主に2010年のインドの賠償法(原発を建設したが操業には関与していない外国企業に過度のペナルティを科す)により、10年遅れた。同法は国際基準に反している。当局者は、インドは国際法に譲歩し、事故に備えた国内の保険金積み立てを立ち上げたとしているが、賠償法はまだ有効であり、有害な曖昧さの原因となっている。Westinghouse社が来年まで計画に署名しないとしている理由である。

 米印関係は、貿易と投資のさらなる開放、知的所有権の保護、多国間安全保障構造についての継続的な議論が必要であるが、米印関係強化は、両国にとり経済的にも戦略的にも大きな利益があり、超党派的な努力であった。演説で、モディは米国の詩人Walt Whitmanを引用して、「新しい交響曲が演奏されている」と言った。次期米大統領が誰になっても、それが演奏され続けることを希望しよう。

出典:‘A New Symphony in Play’(Wall Street Journal, June 9, 2016)
http://www.wsj.com/articles/a-new-symphony-in-play-1465494333


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