2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年7月7日

 ウォールストリート・ジャーナル紙は、5月30日付社説で、イランの専門家会議議長に強硬派のジャンナティが選出されたことを取り上げ、イランが穏健化する見込みが薄いことの証左である、と指摘しています。要旨、次の通り。

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 イラン核合意の喧伝されている利益の一つは、より穏健な政治家に力を与えることになり、体制を徐々に穏健化するだろう、ということであるが、専門家会議の議長選挙から判断すると、穏健化はムラー(イスラム教徒)たちの頭の中にはない。

 イランの次期最高指導者を選出することになる、88名からなる専門家会議は5月24日、89歳のアフマド・ジャンナティ師を議長に選出した。ジャンナティは、イランの体制の基準から考えても強硬派である。彼は、テヘランの金曜礼拝のイマームとしてハメネイの代理をしており、彼の以下のような言葉は、2月の専門家会議の不正な選挙を穏健派の勝利と慌てて呼んだ人々にとり、聞くべきものである。

 米国について。「彼らは世界規模でのテロの親玉で、テロリストの指導者である」

 ユダヤ人について。「シオニストは人間の格好をしているが、彼らは人間ではなく、豚と略奪者の性格を持ち、人々があらゆる場所で彼らに反対せざるを得ないような状況を作り出してきた」

 イスラエルについて。「イスラエルとその仲間の崩壊は迫っており、間もなく我々はそれを目撃することになろう」

 1989年にジャンナティは、英国の作家サルマン・ラシュディの殺害を求めるホメイニ師のファトワへの支持を集めるべく、ムスリム世界を外遊した。2003年には、彼は米軍への「殉教作戦」をするようイラク人に呼びかけた。2009年には、彼は、当時のイスラエルのツィピ・リブニ外相に対し誰かが「銃弾を使う」ことを望むと述べた。2014年には、彼はサウジのアブドラ国王の逝去に際し、忠実な信者たちを祝福した。

 ジャンナティは専門家会議を2年間率いる予定であり、同会議の「革命的使命」を維持することを目指す、と言っている。彼の台頭は、ハメネイの後継が誰であれ、体制の核心的な反西側の哲学が変わりそうにないことを意味する。イランでは、強硬派がいまだ力を持っている。

出典:‘Meet the New Mullah’(Wall Street Journal, May 30, 2016)
http://www.wsj.com/articles/meet-the-new-mullah-1464632344

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