改善のきざしもある。この夏以降に総務省はドローン向けの電波規制を改正し、ドローンに専用の周波数帯を割り当てる見込みだ。これまでWi-Fiと同じ帯域を使っていたため、電波が混線することがあったが、こうした事態はなくなりそうだ。また、数キロ離れた地点のドローンからの映像の送信も可能になるという。送信機の開局申請も不要になる見込みだ。
ただし、今回の規制緩和は主に産業用ドローンを想定しており、駒形社長は「競技用ドローンも飛ばしやすくなるのは間違いないが、普及にはさらに踏み込んだ緩和が必要だろう」と分析する。
競技人口拡大で海外と並ぶ日
規制緩和に加え、駒形社長が取り組もうとしているのが競技自体の認知度アップ。「今後も全国各地で競技会を開き、多くの人に知ってもらうことで競技人口を増やし、国内のレベルを上げたい。競技用ドローンのパイロットが将来、産業用ドローンのオペレーターになるという流れがつくれるはず。競技だけでなく、産業も含めドローンを有効活用すれば、社会に貢献できる」と言葉に力が入る。
今回の大会は秋田県仙北市というへき地での開催ながら、3日間で延べ約1700人を集客。パイロットも全国各地から参加しており、全国的なドローンレースへの関心の高まりを伺わせた。ドローンレースは駒形社長が関わっているだけで全国各地で六つの大会開催プロジェクトが動いているといい、「地方も含めた大会開催で、競技人口の底上げを図りたい」と意気込んでいる。
話を大会に戻すと、マスタークラス王者で、予選・準決勝共に一位通過と圧倒的な強さを見せた韓国のキム・ヒョンソプ選手は、記者団からの「日本の選手にアドバイスを」との質問に、「日本でも優秀なパイロットが出てきている。日本ももうすぐ国際レベルに並ぶから、アドバイスは必要ない」と返した。キム選手の予測通り、国内勢が海外勢に比肩する日は近いのか。ドローンレースから目が離せない。
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