2022年11月26日(土)

Bangkok駐在便り

2016年9月3日

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 2つ目は、長年タイを悩ませているタイ深南部のテロ組織による犯行。ナラティワート県、ヤラー県、パッタニー県、ソンクラー県の4県には、かつてイスラム教徒の小国が存在したが、1902年にタイに併合。タイからの分離独立運動を訴えるマレー系のテロ組織は、2000年頃からテロ行為を激化させ、04年から15年までにすでに6500人以上の死亡者を出していることは、日本でもあまり知られていない。基本的に彼らは南部のみでテロ行為に及ぶが、今回に限って活動範囲を広げたとの見方だった。

日本でいえば葉山のような、王族の保養地であるホアヒン

タイ警察はタイ人の犯行と断定

 上記2つがいわゆるタイ人以外によるもの。そして3つ目は、現軍事政権と因縁の関係、かねてより現政権を批判していた元首相タクシン派閥である反独裁民主戦線こと赤シャツ隊。事件の4日前、新憲法草案の是非を問う国民投票で敗退を喫し、これまで選挙では絶対に負けなかった赤シャツ隊が反発する動機は十分にあった。

 そして、事件当日、タイ国家警察庁は「国外の組織ではなく、タイ人によるもの」と断定し、赤シャツ隊の本拠地ともいえるチェンマイ出身の男性を逮捕したが、すぐに釈放した。その後、爆発物の起爆装置に使われていた携帯電話がマレーシア製であると判明。南部テロの可能性が急浮上したものの、容疑者を特定する決定的な証拠は見つかっていない。

 また、18日は事件に関わったとされる赤シャツ隊メンバーなど39歳〜71歳までのタイ人男女17人を拘束したが、翌日には「事件に結びつく証拠はなかった」と解放されている。DNA鑑定により、1人に逮捕状が出ていたが、すでにマレーシアに逃亡したとされ、25日時点で容疑者を確保するまでには至っていない。これでは捜査が後手に回っていると批判されても仕方ないだろう。

 そして、同事件と関連性があるかは不明だが、23日に南部パッタニー県で大きな爆発が発生し、1人が死亡、30人が負傷。日本の外務省は前述した深南部4県に対し、渡航中止を促す「レベル3」の危険情報を発表している。

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