世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2016年9月19日

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 米軍の即応性は大統領選挙のイシューになり易いです。今回の選挙でも、トランプは民主党政権下で米軍は弱体化した、と民主党を攻撃しています。トランプは、自分が大統領になれば、軍隊の規模、能力を増やす、国防予算の上限を外すと公約しています。他方、クリントンは世界最強の米軍を維持していくとして、基本的には目下の政策の継続を示唆するとともに、むしろ同盟の強化に重点を置いています。

依然として世界最強

 ペトレイアス元在イラク司令官等によるこの記事はトランプ流の米軍衰退の主張に反論するものです。トランプ共和党候補の言っている米軍の危機論については、米メディアも懐疑的です。実際、例えば、兵器近代化支出は、今もブッシュ政権時代と同じレベルにあります。また、オバマ政権時代の国防費削減は、議会の共和党、民主党双方の主張によって合意されたものだと指摘されています。

 この論説記事は、米軍は予算規模、装備、訓練、兵士の質などから依然として世界最強であると強調します。しかし同時に、今後の課題の指摘も忘れていません。自己満足のコメントではありません。

 最近潜水艦戦力バランスが議論になっています。西側の優位が崩れつつあるのではないかと指摘されています。ロシアや中国の潜水艦が一層静かになり、装備する武器も高度化しているといわれます。水中ドローンの導入を含め、米国などによる潜水艦の追跡能力強化の必要性が指摘されています。

 西側にとって大きな課題は、特に中国とロシアの軍事力強化です。ハードウェア、訓練、ポリティコ・ミリタリー(同盟強化、友好国拡大等)という三つの分野で対応を強化していくことが重要です。その関連で、南シナ海問題を抱えるフィリピンについて、麻薬取り締まりに係る人権批判をした国連からの脱退も厭わないとの大統領発言など今後に不安はありますが、フィリピンとの連携に努めていくことは極めて重要なことでしょう。
 

  
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