ウォールストリート・ジャーナル紙が8月4日付で「香港の忠誠の誓い:政府は批判者が選挙に出るのを阻止するために忠誠の誓いをでっちあげている」との社説を掲載し、中国の香港政策が香港独立運動を刺激しかねないと論じています。論旨、次の通り。
香港では9月4日、立法会の選挙がある。候補者の中には北京に対決的な若い活動家がいることで、北京は警戒している。それで北京は候補者登録に当たり、香港は中国の「不可分の一部」と確認する忠誠の誓いに署名することを要求している。
先週選挙管理委員会は、この誓いに署名をしなかった、あるいは学生運動家エドワード・梁の場合には署名が真摯ではないとの理由で、6名の候補者を失格処分にした。25歳の梁は、過去に独立を支持したが、今後、そうしないと約束した。しかし当局はフェイスブックでの彼の発言を元に、彼はその姿勢を「真摯に変更」していないとして、立候補を阻止した。
著名な30人の弁護士が今週声明を出し、政府を批判した。香港法では、役人は候補者の発言の真摯さを問題にする権限はなく、候補者の資格を適正な手続きをとらず、基本法を真摯に守っていないとの理由ではく奪する政治的決定をする権限はないとしている。「立候補禁止は不法であり、政治的検閲と事前審査に当たる」としている。
2014年の75日続いた民主化要求デモでも、独立の主張は取るに足らない泡沫的主張であった。しかし、政府のこれらの抗議への非妥協的な反応、批判者を過激な秩序破壊者と描写することは、若い世代の中で独立の主張を信頼性のあるものにしかねない。独立支持候補を失格させることは独立運動に勢いを与えうる。
昨年の抗議後、行政長官梁振英は、年次演説で「香港のnationalism」をとりあげた香港大学の雑誌を批判した。その結果、雑誌はすぐ売り切れた。その後、570名の学生を調査したら、1年前から独立支持が倍増、28%にもなった。今夏、市全体の調査では17%が独立支持(ただし4%しか現実的と考えていない)であった。
独立支持候補の弾圧が大陸での「分裂主義」弾圧のようなものになれば、独立支持者の数は増えるだろう。立候補資格をはく奪された候補者は、当局の決定は違法との裁判を起こそうとしている。
出典:‘Hong Kong’s Pledge of Allegiance’(Wall Street Journal, August 4, 2016)
http://www.wsj.com/articles/hong-kongs-pledge-of-allegiance-1470335490