2024年11月22日(金)

AIはシンギュラリティの夢を見るか?

2016年9月29日

 Echoはアマゾンが提供するEコマースと連携するという強みを持っているが、それぞれAssistant(グーグル)とAlexa(アマゾン)と呼ばれる「人工知能」の出来や、連携する他社の製品やサービスの数などが勝負の鍵となる。

 グーグルは、Googleアカウントでログインしているユーザの予定表や連絡先を把握しており、Assistantは検索やメールの履歴などから推論した最適な答えを返すことが可能だろう。さらに、検索のために収集した膨大な情報から学習できることもAssistantの大きな強みだ。今やグーグルは、AIのために検索サービスを提供していると言ってもいいかもしれない。

(図)各社のパーソナルアシスタント

 アップルはSiriという音声認識型のパーソナルアシスタントを、iPhoneやiPadで提供している。フェイスブックはMessenger(アプリ)で、テキストベースの対話型のアシスタントサービスを提供している。
 

AIのネットワークが次のプラットホームになる

 現時点でのAIは人間の脳のようには万能でなく、その役割は学習した分野などに特化している。そのため、分野特化の複数のAIが連携して1つの仕事をこなすことになる。AIは主にクラウドに配置されるが、今後は自動車やドローンや家電などの機器にも搭載されていくだろう。スマートフォンやウェアラブル機器やリビングルームのパーソナルアシスタントのAIは、音声やテキストやジェスチャーや画像などでユーザと対話する。そしてセンサーを搭載したIoTのデバイスは、クラウドのAIに情報を供給し続ける。そのように遍在したAIの連携、すなわちネットワークが次のプラットホームになると考えられる。

(図)分野特化のAIがクラウドや機器に遍在し連携する

 アマゾンは昨年の6月から、Alexaとそのソフトウエア開発キットをサードパーティーに公開しており、Echoから利用できる他社のサービスや、製品の機能が、すでに3000種類を超えたという。

 現時点ではAssistantの開発キットは公開されていない。グーグルは、Fuchsia(フクシア)と呼ばれる新しいOSを開発している。これは家電製品やIoTデバイスなどに組み込まれることを想定しているようだ。FuchsiaにAssistantとの連携機能が含まれていることは十分に考えられる。

 スマートフォンでのインストールベースで世界最大となっているAndroidのプラットフォームを、Fuchsiaによって家電製品やIoTデバイスに拡張することによって、AssistantというAIのネットワークを次の支配的なプラットホームにすることを狙っているのではないだろうか。


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