ところが、9月に入った途端、堂上はふたたびベンチを温めさせられるようになった。代わりに連日ショートでスタメン起用されているのは、今年ドラフト5位で入団した阿部寿樹。明大、ホンダを経て、27歳でプロ入りしたオールド・ルーキーである。この阿部が堂上をしのぐ活躍をして見せればともかく、打棒も守備もスケールが小さい。何よりも、堂上との決定的な違いは、華がないことだ。
「もっと働け!」「何やってんだ!」
堂上は巨人戦の試合前の練習でもふつうに動いており、シーズン終了まで出場する意欲も十分だそうで、怪我で下げられたわけではない。ここで一皮剥けるかどうかという大事な時期に、いきなりベンチに下げてしまうのはファンならずとも首を捻りたくなる。阿部は落合博満GMが即戦力と見込んで獲得した選手だから、使い物になることを実証したい落合GMの意を受け、森繁和監督代行が阿部を優先的に使っているに違いない——という地元マスコミ関係者の憶測は脇に置くとしても、堂上の処遇に苛立ちを感じているファンが多いことは確かである。事実、東京ドームでは阿部に対し、「もっと働け!」「何やってんだ!」という罵声が飛んでいた。
22日にバルデスを先発させた意図もわからない。このキューバ人投手は39歳で、今季は6勝7敗、防御率3・51だ。Bクラスが決まったあとの試合で勝ったとしても、チームにとってどれほどのプラスになるのか。「2桁勝っている投手も規定(投球回数)に達している投手もいない」と森監督代行は嘆くが、それならばなおのこと、来季を見据えて若い投手をマウンドに上げるべきではないのか。
中日の現状を見るにつけ、親会社がDeNAに変わる前のベイスターズ、毎年Bクラスに低迷していた時代のカープが思い出されてならない。ドラゴンズがふたたび強くなるには、両球団のようにチームがまるごと変わるほどの改革が求められているように思う。
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