イスラエルのアメリカ企業はヨルダンに天然ガス輸出 総額100億ドル!
帰国後、『Oil and Gas Journal』などにあたってみると、なるほど2010年に地中海沖で天然ガス田が発見されている。イスラエル沖、シリア沖の東地中海の推定埋蔵量は1兆750億m3。ちなみに、LNG化した天然ガスの輸入量は日本が世界最高で、年間1180億m3(2015年)、そのうちカタールからは202億m3輸入している。
シリアは内戦でガス田採掘の余裕はないし、さらに日本を含めた欧米の経済制裁中である。もしそのような制限がなければ、シリアは近隣国へガスを輸出できる可能性があったし、日本さえシリアから天然ガスを輸入する方策もあっただろうから、競争原理で輸入価格はさらに下がっていた。しかも中東のパワーポリティクスも激変する。それを嫌うのは何もカタールだけではない。
結局、果実を得たのはイスラエルとアメリカ企業であった。。内戦のシリアを尻目にイスラエル沖では、米国企業Noble Energy社がガス田採掘を開始し、2013年には早々生産にこぎつけた。そして、この9月26日に、総額100億ドル(総計450億m3、15年間)の天然ガス輸出契約をヨルダンと結んだ(『THE JERUSALEM POST』)。イスラエル史上初のエネルギーの輸出となる。
国内外のシリア難民は1170万人、死者は30万人を超えるという。
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