4年総額18億円でオリックスから阪神にFA移籍した糸井嘉男は、いったい来季どれだけ打てるのか。パ・リーグからセ・リーグへ移り、相手バッテリーの攻め方が変わって戸惑うことはないのか。秘かに疑問に思っているプロ野球ファンは少なくないはずだ。
今季の糸井はリーグ4位の打率3割6厘、17本塁打、70打点に加えて、リーグトップの53盗塁をマーク。移籍会見では今季を上回るキャリアハイの数字を目指すと怪気炎を上げた。しかし、交流戦におけるセ・リーグ球団との対戦成績を見ると、優勝した広島には13打数2安打で打率1割5分4厘、2位の巨人に9打数0安打で0割、DeNAと中日は2割5分。4割6分2厘と打ち込んだヤクルト以外には抑えられている印象が強い。
昨季の数字を見ても、優勝したヤクルトに1割2分5厘、2位の巨人に9分1厘、4位だった広島にも8分3厘と、分の悪い数字ばかりが並んでいる。もっと遡って日本ハムの主力打者として出場した12年の日本シリーズは巨人と対戦して25打数6安打で2割4分、打点1。とくに巨人と広島にはかなり弱点を研究されているようだ。移籍1年目の大物が打てないとなったら、チームの雰囲気に及ぼす悪影響も甚大。糸井本人はもちろん阪神首脳陣にも入念な対策が求められる。
糸井に比べるとほとんど注目されていないが、ロッテの主砲アルフレド・デスパイネの去就も大変気になるところだ。今季でロッテとの2年契約が終了したばかりで、キューバの新聞「グランマ」電子版に掲載されたインタビューによると、契約更新を望むロッテのほかに「中日とソフトバンクからもオファーがある」と発言。来季、どこでプレーするかは、「それぞれの球団とキューバ政府の交渉次第になる」という。ひょっとしたら、糸井よりこのデスパイネのほうが来季のペナントレースを左右する存在になるかもしれない。