報道にはすべて裏がある

2016年12月1日

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 「あらゆる手段を使って辺野古には新基地を作らせない」

 翁長知事は14年の沖縄県知事選でそう主張して当選したが、その一方でSACO合意そのものは認める立場を取ってきた。合意には、北部訓練場の他にも普天間飛行場やキャンプ桑江など県内の米軍基地を整理した上で、順次返還するメニューが並んでいる。沖縄の基地負担の軽減につながることが期待される。この合意を否定するのは、沖縄県知事として難しいだろう。 

 ただし、高江のへリパッド建設工事については、知事選の投票日のほぼ1カ月前に開いた政策発表の記者会見で、「オスプレイ撤去と(普天間の)県外移設を求める中で、高江のヘリパッドは連動して反対していくことになる」と発言。口頭ではあるが、明確に反対していた。

旗色を鮮明にしない

 SACO合意は認めるが、辺野古は認めない。そして高江も選挙前には否定したが、当選して知事になると、旗色を鮮明にしない。ここは分かり難い。そもそも彼の反基地姿勢にはどれほどの本気度があるものなのか、疑わしいと見るむきも沖縄では多い。

 そうした中での11月28日の記者会見である。翁長知事が冒頭の発言をすると、すかさず琉球新報の記者がこう突っ込んでいる。

 「知事選の公約会見では高江のヘリパッド建設に反対した。『苦渋の選択』は後退ではないのか」

 翁長知事は論点を逸らして誤魔化している。

 「オスプレイの全面撤回があればヘリパッドも運用しにくいのではないか」

 普天間飛行場に配備されているオスプレイの配備が撤回されれば、建設中の高江のヘリパッドも運用されなくなるのではないか、という意味での発言ではないかと思われる。

 翌日からたいへんである。琉球新報、沖縄タイムスの二紙がそろって、1面に「知事ヘリパッド容認」との同じ見出しで、翁長知事批判を大展開。「事実上の公約撤回」と非難した。なかでも琉球新報は、識者のコメントという形式ではあったが、こうまで記している。

 「知事は前知事と同じように『いい正月』を迎えるのだろう。2013年の年末に県民が見た悪夢が再びよみがえった。これで知事は『自ら進んで米軍に基地を差し出した沖縄県知事』として歴史に刻まれることになる。知事を信じて闘ってきた人々への裏切り行為は断じて許されない」(11月29日付『琉球新報』30頁)

 仲井真弘多前知事が、辺野古の埋め立てを承認した時の経緯を引き合いに出し、それと同じだと言ってなじっているのである。

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