興味深いのは、この一軒だけでなく、神戸の餃子を出す店では、味噌だれ餃子が普通だということだ。
それを教えてくれた武庫川女子大学准教授の三宅正弘さんに、餃子巡りを案内してもらった。都市計画が専門の工学博士だが、お好み焼きで都市を論じたりする趣味人である。それで本を書いているほどの。
「瓢たん」や「赤萬〔あかまん〕」あたりが知られているか。そのどちらも、三ノ宮店やら元町店といった具合に展開している。あちこち見て歩き、元町駅にほど近い瓢たんに行った。
10人は入れぬカウンターだけのお店。メニューは餃子と飲み物だけ。次々に客が入れ替わり、頬ばる。お土産に買いに来る。
そのお味。焼き餃子としては少々柔らかめかなあというところは、ぎょうざ苑のそれと似る。ただ、味噌だれが違う。
ぎょうざ苑では、信州味噌系のような味わいを感じたが、こちらは八丁味噌のような豆味噌系の味を強く感じる。そもそも、同じ瓢たんでも、それぞれの店でたれの味は違うのだとか。赤萬はその日、お休みで試せなかったが、これまた、違う味わいなのだと三宅さん。醤油の代わりに味噌を入れるという単純な話ではなく、味噌以外にもあれこれ独自にブレンドしている。複雑な味なのだ。
ディープなファンは、どこの味噌だれが好みとそれぞれ分かれるらしい。にわかファンはそこまでは行かぬが、餃子といえば醤油と辣油と酢という組み合わせだと信じていたものが揺らいではいる。それほど、当たり前になじむ味。何故、よそには広まらないのか不思議なくらい。そういえば、チェーン店の王将でも神戸の一部の店では味噌だれを出しているのだとか。
さて、餃子もラーメンなみに各地域の味として、定着し、百花繚乱となるものか？ もう少し、食べ歩き、考えるか。さて、もう一軒。
■元祖ぎょうざ苑
神戸線元町駅下車、徒歩約５分
神戸市中央区栄町通２-８-11 ☎078（331）4096
営業時間／11時45分～15時、17時～20時30分
定休日／月曜（祝日の場合は翌日）
■瓢たん
神戸線元町駅下車すぐ
神戸市中央区元町通１-11-15 ☎078（391）0364
営業時間／11時30分～22時30分
定休日／不定休
■「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る（＝isMedia会員登録）
週に一度、「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。
