インタビューの中でコノリー議員は、共和党が提案した医療保険制度改革(通称オバマケア)の代替案についても触れました。米議会予算局(CBO)の試算によりますと、共和党が提案した代替法案では、2026年までに無保険者が2400万人増えます。
同議員は米議会予算局のこの試算を用いながら、トランプ大統領がオバマケアを廃案し、新しい医療保険制度に置き換えることによって、全ての米国民が保険に加入できるようになると主張しているのは間違いであると指摘しました。
オバマ「盗聴」発言に加えて、医療保険制度改革においても信頼性の高い大統領ではないと同議員は捉えています。今回のトランプ大統領のツイッターにおけるオバマ「盗聴」発言によって、同大統領のリーダーとしての信頼性の有無が問われているのです。
静かなクーデター
トランプ大統領は、政権内からメディア及び野党民主党に情報が漏れている点に怒りと苛立ちを隠せません。政権発足後2カ月が経過しましたが、各省庁における政治任用の高官ポストは埋まっていません。その結果、トランプ政権にはオバマ前政権で任命された幹部職員が残っており、彼らがメディア並びに民主党に情報を漏らしているとトランプ大統領はみています。右派のラジオ番組司会者ラッシュ・リンボー氏はこれを「静かなクーデター」と呼んでいます。大統領首席戦略官スティーブン・バノン氏が元会長を務めていた極右サイト「ブライトバート・ニュース」は、リンボー氏のこの発言をサイトに掲載して、政権内部に反トランプの情報提供者が存在していると述べています。
「静かなクーデター」の例を挙げてみましょう。安全保障問題担当のマイケル・フリン大統領補佐官(当時)が、トランプ大統領就任前にオバマ前政権がロシアに課した制裁に関してロシア大使と協議していた問題です。フリン氏はこれが原因で辞任しています。この情報は政権内の職員が漏らしたというのが一般的な見方です。同大統領はツイッターに情報を漏らした人物を探し出すと投稿しています。
政治任用の高官ポストが埋まっていない状態は、民主党にとってアドバンテージになっています。というのは上で説明しましたように、「静かなクーデター」を通じて政権内の情報を獲得できるからです。民主党が現在の状況を利用するために政府高官の人事を遅らせているという指摘がありますが、「行政国家の解体」を信条とするバノン氏が政治任用に積極的ではないからだという分析もあります。いずれにしても政権内にトランプ大統領に対する不信感が漂っているのは確かです。