具体的には、民泊について、これまで国家戦略特区に限定して認められていたものを、全国的に展開することを可能にするための住宅宿泊事業法案が政府・与党で検討されている。
内閣総理大臣の諮問機関である規制改革推進会議(大田弘子議長)は、急増する訪日客の交通需要への対応から、一般のドライバー(運転手)が料金を取って自家用車で利用客を送迎するサービスであるライドシェアの解禁を検討している。
筆者の問題意識は、これらの検討に当たって、税制の観点が抜け落ちているということである。以下、配車サービスのウーバーを例にとって、様々な税の課題を考えてみたい。
シェアリングエコノミーの課税は〝問題山積〟
ウーバーのビジネスモデルはおおむね次のとおりである。ウーバーは、多くの個人運転手を登録し、利用者(こちらも登録)がスマートフォンを通じて配車の依頼をすると、登録運転手に連絡がいき送迎サービスが行われる。利用者は、クレジットカードで利用料金を支払い、ウーバーはその10~30%の手数料を受け取る、というのが標準のビジネスモデルで、ライドシェアとも呼ばれる。
わが国でも一部地域での試行実験が始まっているが、普及が進んでいる米国の状況を見ると、UberX(エコカーの場合)の運転手は、1時間20ドル以上の収入を得ることができ、年間平均収入はニューヨークで約9万ドル(約990万円)、サンフランシスコで約7万4000ドル(約810万円)で、登録をして収入を得る個人ドライバーが増えている、とのことである(平成27年版情報通信白書より)。
このビジネスモデルの、わが国税制上の問題を整理すると、おおむね次のとおりになる。
まず所得税の課題である。登録運転手は、個人事業主なのか、それともウーバーの被雇用者なのか、という問題である。個人事業主ということになると、わが国では自ら納税申告をしなければならないが、その所得情報を課税当局はどうやって把握するのか(申告漏れはないか)、ウーバーから情報提供をさせることは可能か、さらにはウーバーに源泉徴収義務を課すことができるのかなどの問題である。