2024年11月22日(金)

Wedge REPORT

2017年4月5日

 ウーバーが納税義務者となる場合には、客は消費税込みの代金を支払い、それをウーバーが国に納付する義務を負うが、それが可能か。英国では、ウーバーを通じて配車を頼んだ料金にVAT(付加価値税)が含まれていないことが問題となっている。

 また、ウーバーが外国の事業者である場合には、消費税を全く徴収できない可能性がある。わが国では、2015年10月から国外事業者が国境を越えて行う電子書籍・音楽・広告の配信等の電子商取引には、登録制などを導入して消費税を課すこととした。

 これは、適正・公平な課税という観点からだけではなく、国内外の事業者間での競争条件をそろえるという狙いもある。ウーバーやエアビーアンドビーが海外から国境を越えて仲介サービスを行う場合には、この中に含まれることになるが、今後さらに検討を進めていく必要がある。

 難しいのは、法人税の問題である。この問題を語るには、Amazon.com(アマゾン)のビジネスモデルと法人税・国際課税のルールを知る必要がある。

所得税、消費税以上に徴収難しい法人税

 外国法人が、わが国で事業活動をして利益を上げる(事業所得を得る)場合、わが国に支店等の課税のとっかかりを持たなければ、課税されない。このとっかかりは、恒久的施設(Permanent Establishment、以下PE)と呼ばれるもので、「PEなければ課税なし」というのが国際課税の大原則である。それに基づいて、日米租税条約も締結されている。

 一方アマゾンは、千葉県の巨大な配送センター(倉庫、アマゾンの100%子会社のアマゾンジャパン合同会社)を持っているが、これは現状ではPEではないとされており、詳細はわからないもののアマゾンは通信販売などから生じる莫大な利益について、日本国政府に法人税をほとんど支払っていないと思われる。


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