2024年5月2日(木)

Wedge REPORT

2017年4月5日

 ウーバーに話を戻すと、ウーバーの主たる業務は、配車サービスというプラットフォームを提供することである。実際にサービスを提供している国に、(PR会社やクレーム会社はともかく)PEとなる支店や子会社をわざわざ置く必要はない。

 さらに、その中核ビジネスモデルである無形資産を、低税率国やタックスヘイブンに移せば、租税を回避することが可能となる。米国に本社を置くウーバーは、すでに、オランダ(事実上のタックスヘイブン)に中間持ち株会社を作って、そこに無形資産を移しているといわれている。

経済活力の源泉となっているシェアリングエコノミー

 「ユニコーン企業」という言葉がある。これは企業としての評価額(時価総額)が10億ドル(約1100億円)以上で、非上場のベンチャー企業を指すが、米国には多くのユニコーン企業があり、経済活力の源泉となっている。その上位には、ウーバーやエアビーアンドビーなどシェアリングエコノミーの代表企業が名を連ねている。彼らが新たなビジネスチャンスと雇用機会を創出していることは間違いない。そこで働く人々も、専門的知識や経験を持つ者が、組織にとらわれることなく仕事を見つけることができるという大きなメリットがある。

 したがって、シェアリングエコノミー企業の健全な発展は阻害すべきではない。同時に、適正・公平な課税が行われるための検討を早急に進めていくことが必要だ。これが筆者の考え方である。

 税制の問題以外にも、失業保険や年金など社会保険料負担の問題、さらには労働法規の問題もある。これらは、競争条件の公平性(イコールフッティング)の問題としても重要な観点だ。いずれにしても、ITの発達に税制や社会保障制度がついていけるのか、という大きな課題を投げかけている。

  
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◆Wedge2017年4月号より


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