アマゾンのビジネスモデルを要約すると以下のとおりである。日本人がインターネットでアマゾンに商品の購入を発注すると、契約の相手側は米国のアマゾンインターナショナル社となる。代金決済はクレジットカードで行われる。
アマゾンは、委託契約を結び手数料を払っている日本の配送センターに連絡し、そこから商品が配送される。日米租税条約上、倉庫はPEには当たらないので、アマゾンが日本人を相手に得る事業所得は、基本的にわが国では課税されないということになる。
関連サービスの提供を行うアマゾンジャパン合同会社は、日本法人として課税されるが、ほぼコストに見合う委託手数料をアマゾンからもらうだけなので、ほとんど課税は生じない。
現在は別のスキームになっている可能性はあるが、いずれにせよ日本国政府としてアマゾンのような業態の外国法人からまともに法人税を徴収することは難しい。
このスキームを巡っては、12年にG20が、租税回避ではないかとして、OECDに検討を命じ、BEPS(税源侵食・利益移転)プロジェクトがスタートした。15年秋に公表された最終報告書では、「人為的にPEの認定を逃れることを防止するために、租税条約のPEの定義を変更する」(行動7)とされ、今後この問題は、わが国と米国の租税条約の問題として議論される可能性がある。